実戦解説:ただより高いものはない2

Rochan_to_Danke
FM Rochan_to_Danke
Nov 17, 2014, 3:06 PM |
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皆さんこんにちは!今回も、某チェスサイトで見つけた試合から色々と学んでいきたいと思います。この試合は、持ち時間15分+1手1秒加算で行われました。

Anonymous (1984) VS Anonymous (2112)

1.d4 Nf6 2.c4 g6 3.g3

Diagram after 3.g3

この試合では、白も黒もビショップをフィアンケットすることを選びます。フィアンケットとはナイトの前のポーンを一つ進め、空いたマスにビショップを配置する作戦。キングサイドにフィアンケットされたビショップは将来的に長い斜線を睨み、キャスリングをしたキングの守りの要となります。

4.Bg2 0-0 5.e3 d6

Diagram after 5...d6

テンポよく駒を展開しキャスリングを済ませた黒に対し、白は5.e3と指しナイトをe2に展開する作戦を選びました。f3ではなくe2に展開すると白マスビショップの斜線を塞がないというメリットがありますが、反対にe5のマスといった中央の支配が少し弱まってしまうというデメリットもあります。黒はそのことを利用して、5...d6と指し将来的にe7-e5からの中央突破を目指しました。

6.Ne2 c6 7.Nbc3 e5!

Diagram after 7...e5!

白は予定通りナイトをe2に展開。それを見た黒は6...c6と白のビショップの斜線を止めました。そして黒の7...e5は中央にプレッシャーをかける好手。将来的にexd4と中央を開いたり、どこかでe5-e4からd6-d5とポーンを進めポーンチェーン(ポーンチェーンの詳しい解説はこの記事参照)を作り、キングサイドでの攻めを狙ったりと柔軟な指し方ができるようになりますね。

8.b3 Re8 9.d5?!

Diagram after 9.d5?!

この手は相手のビショップの斜線を開けてしまう、やや不自然な一手です。白のg2にいるビショップやc3のナイトはクイーンサイドを睨んでおり、白はクイーンサイドから勢力を広げていくのが自然だと言えるでしょう。となると、白がキャスリングすべきサイドはキングサイドとなります。ここまでキャスリングを遅らせる必要はないと思いますし、自分なら9.0-0とキャスリングし、黒に手を渡してどんな作戦を取ってくるのか様子を見たでしょう。

9...cxd5 10.Nxd5 Nxd5 11.Qxd5 Nc6

Diagram after 11...Nc6

白はd5のポーンをクイーンで取り、弱いd6のポーンを狙うぞといった姿勢を見せました。それに対し、黒はキャスリングをしていない白キングに対して狙いを定めます。11...Nc6は駒を展開しながらNb4とクイーンを攻撃し、隙を見てc2やd3といった白キング回りのマスに入り込む狙い。更にBe6とビショップを展開しながら白クイーンを攻撃し、展開の差を利用して中央から反撃を狙うこともできますね。客観的には守り切れるかもしれませんが、実戦的に見て駒の展開やキャスリングが遅れている白は相当指しにくいと思います。

12.Ba3 Be6 13.Qxd6??

Diagram after 13.Qxd6??

白は12.Ba3とビショップを展開しながらNb4を防ぎ、d6のポーンを攻撃しました。黒は白がまだキャスリングしていないのを見て、ポーンを囮にする作戦を選びます。そして、このポーンをただ取りする13.Qxd6は軽率な一手。前回の記事でも触れたように、駒をただ取りできる時は、何故相手がそう指したのかということを考える必要があります。ここは13.Qd2とクイーンを引いて守りを固め、キャスリングを準備する必要がありました。

13.Qd2!

Analysis diagram after 13.Qd2!

これで一時的に黒の攻めを押さえ、キャスリングをした後にd6のポーンにプレッシャーをかけていけば、局面はほぼ互角だと思います。では本譜に戻り、何故13.Qxd6が駄目だったのかを見ていきましょう。

13...Qa5+!!

Diagram after 13...Qa5+!!

d5にいた白クイーンがd6におびき寄せられたことを利用して、黒は13...Qa5+と白キングを攻め始めます。a5のクイーンはa3のビショップを同時に攻撃しているので、白は14.Qd2とするとa3のビショップの守りが外れ、駒損してしまうのが分かるでしょうか。

14.Kf1 Rad8 15.Qc5 Qd2!

Diagram after 15...Qd2!

白は15.Qc5と必死にクイーン交換を持ち掛け攻めを緩和しようとしますが、黒はそれに応じるわけがありません。15...Qd2は次にQd1!+とクイーンを犠牲にし、バックランクメイトを狙っています。e2のナイトが攻撃されているため、白は16.Kg1と逃げたいのですがそうすると駒損してしまいますね。

16.Bxc6

Diagram after 16.Bxc6 黒番次の一手は?

白はビショップでナイトを取り、キングの逃げ道を用意しました。キングが安全でなく、ルークも連結していないとはいえ白は一応ポーンアップ。駒をどんどん交換していき、攻めを緩和することができれば白にチャンスができますが。。。

16...Bh3+!!

Diagram after 16...Bh3+!!

白のビショップを取り返さず、16...Bh3+と指すのが白の息の根を止める一手。白はビショップを戻してチェックを防げるので駒割り的にはピースアップですが。。。

17.Bg2 Qd1+!! 18.Rxd1 Rxd1#

Diagram after 18...Rxd1#

先ほど言ったバックランクメイトが決まり、ゲームオーバーです。どれだけ駒得していても、チェックメイトされたら終わってしまうのがチェスというもの。白の敗因は、目先の得に目を奪われて指してしまった13.Qxd6でしょう。最後までキャスリングをせず、キングの安全を確保しなかったことが負けに繋がってしまいました。では、今回の試合から学べることを少しまとめてみましょう。

  • ナイトの前のポーンを一つ進め、空いたマスにビショップを配置する作戦をフィアンケットと言う。
  • キングサイドにフィアンケットされたビショップは、長い斜線を睨みながら守りの要として活躍する。
  • キャスリングを遅らせるのはあまり良くない。
  • 駒をただ取りできる時は、何故相手がそう指したのかを考える。
  • 相手キングが上の段に逃げれない場合は、バックランクメイトの筋がないかを確認する。

今回の解説は以上です。また次の記事でお会いしましょう!