x
Chess - Play & Learn

Chess.com

FREE - In Google Play

FREE - in Win Phone Store

VIEW

実戦解説:ポーンエンディング

Rochan_to_Danke
Nov 1, 2014, 6:40 PM 3

皆さんこんばんは!

前回の記事の最後で、自分は二つ質問しました。

Diagram after 35...Kxd6

この局面で、白の自分は36.a4と指したのですが。。。

1.もし白が36.a4ではなく36.h4と指していたら、黒はどう指すべきでしょうか?その後、お互いが最善手を指し続けた場合、結果はどうなるでしょう?

2.ではもし白が36.h3と指していたら、黒はどう指すべきでしょうか?その後、お互いが最善手を指し続けた場合、結果はどうなるでしょう?

では、答えを見ていきましょう。

36.h4と36.h3、どちらに対しても、黒には起死回生の一手があります。その手とは。。。

36.h4 b5!!

Diagram after 36...b5!!

36...b5の狙いは、白キングの移動範囲を狭めることです。黒は、矢印が示すように白キングがd5のポーンを守れる全ての位置を押さえていますね。白はa、g、h、どのポーンを突いても黒に取られてしまうため、キングを動かすしかありません。できればパスしたいのですが、チェスではそれは許されませんよね。このように、指せる手全てが自分のポジションを悪化させてしまう状況ツークツワンク(zugzwangと呼びます。では、37.Kd3とキングを動かす手を見ていきましょう。

37.Kd3 Kxd5

Diagram after 37...Kd5

ここでもまた白はツークツワンクに陥っています。先ほど言った通り、白はポーンを進めることができません。またキングを動かすしかないのですが、38.Kc3とすると38...Ke4からKf3とキングサイドに侵入され、38.Ke3とすると38...Kc4からKb3とクイーンサイドに侵入され、どちらかのサイドのポーンが落ちてしまいますね。このように、互いのキングが1マス挟んで向かいあっている状態のことをオポジションopposition)と呼び、オポジションを作る手を指すことを、「オポジションを取る」と言います。そして上の図の白のように、オポジションが起こった瞬間に手番を持っている側はツークツワンクに陥りやすい傾向にあります。では、37.Kd3とせず、37.Kc3として37...Kxd5の瞬間に38.Kd3としてオポジションを取る作戦はどうでしょう。

37.Kc3 Kxd5 38.Kd3 a6!

Diagram after 38...a6!

白にオポジションを取られた黒は、38...a6と指すことにより、オポジションを維持しながら白に手を渡しました。このような相手に手を渡す手のことをウェイティング・ムーブ(waiting move)と呼びます。一見そこまで強力な手には見えませんが、白をツークツワンクに陥れているのが分かるでしょうか。黒には更にh6-h5というウェイティング・ムーブがあり、オポジションを維持する勝負は黒の方が圧倒的に有利。ウェイティング・ムーブの有無が勝負の明暗を分けました。つまりポーンアップだったにも関わらず、36.h4と指すと白は負けてしまいます。では、最初に戻り36.h3を見てみましょう。

36.h3 b5!!

 

Diagram after 36...b5!!

ここで、白にもh3-h4とするウェイティング・ムーブができました。ここでそれを使うとどうなるでしょう?

37.h4 h5 38.Kc3 Kxd5 39.Kd3 a6!

Diagram after 39...a6!

白が持つウェイティング・ムーブ一つに対し、黒はウェイティング・ムーブを二つ持っています。この局面ではどちらもウェイティング・ムーブを持っていませんが、最終的にオポジションを取ったのは黒。ここで白が40.Kd2としても、黒は40...Kd4とすることでまたオポジションを取ることができ、白は負けてしまいます。では白はどうすれば良かったのでしょう?正解は、37.g4!とポーンの交換を持ちかける手です。

37.g4!

Diagram after 37.g4!

終盤では、端のパスポーンは中央のパスポーンより強いことが多いというセオリーがあります。例えば白のパスポーンは中央にありますが、黒のキングはそれを止めながら白キングの侵入を防ぐことに成功しています。もしパスポーンが盤の端にあったのであれば、黒キングがそれを止めている間に白は逆サイドから侵入することができますよね。ただ、黒はここで37...fxg4 38.hxg4 h5と盤の端にパスポーンを作ることができそうですが。。。

37...fxg4 38.hxg5 h5 39.f5!!

Diagram after 39.f5!!

g4のポーンを無視し、g6のポーンを攻撃する39.f5が絶妙手!39...hxg4に対しては40.fxg6とし、一歩早くgファイルにクイーンを作ることができますね。そして39...gxf5に対しては40.gxh5とhポーンを取り、hファイルにパスポーンができます。中央に近い黒のf5のパスポーンより、盤の端に位置する白のh5のパスポーンの方が強いということは一目瞭然でしょう。

39...gxf5 40.gxh5

Diagram after 40.gxh5

ご覧の通り、黒は二つのパスポーンを止めることができません。中央に近いせいで、f5のポーンもいずれは簡単に止められてしまいます。しかし、37...fxg4は強制手ではありません。37...h5と逆にg4のポーンを攻撃する手はどうでしょう?

37...h5

Diagram after 37...h5

ここで白は、38.gxh5 gxh5から39.h4とウェイティング・ムーブを指すことができます。黒も39...a6と指し、オポジションを取ることができますが。。。

38.gxh5 gxh5 39.h4 a6

Diagram after 39...a6

ここで注目してほしいのは、黒にこれ以上ウェイティング・ムーブがないということです。つまり。。。

40.Kc3(or Ke3)! Kxd5 41.Kd3!

Diagram after 41.Kd3!

すぐ40.Kd3と下がらず、一旦斜めにキングを引き、黒がKxd5と指した瞬間にキングをd3に配置しオポジションを取るのが正確な指し方です。これに対し、黒も41...Kc6、または41...Ke6と引き、白の42.Kd4に対して42...Kd6とオポジションを取れば局面が進展しなくなります。よって、36.h3と指した場合、お互いが最善手を指し続けたらドローになります。

41...Kc6 42.Kd4 Kd6

Diagram after 42...Kd6 矢印のようにキングが動き続ければ、局面は進展しない。

自分が本譜で指した36.a4という手は、黒のカウンターの鍵となった36...b5!を防ぐ一手でした。36.b5や36.Kc4といったb5の地点を押さえる手でも良かったでしょう。

では、このポーンエンディングから学べることをまとめてみましょう。

  • 指せる手全てが自分のポジションを悪化させてしまうので、できればパスしたい状況のことをツークツワンク(zugzwangという。
  • 互いのキングが1マス挟んで向かいあっている状態のことをオポジションopposition)と呼ぶ。
  • オポジションが起こった瞬間に手番を持っている側はツークツワンクに陥りやすい。
  • 相手に手を渡す手のことをウェイティング・ムーブ(waiting move)と呼ぶ。ウェイティング・ムーブを使ってオポジションを維持しながら相手に手を渡すことは、ポーンエンディングで重要なテクニック。
  • 終盤では、端のパスポーンは中央のパスポーンより強いことが多い。

今回の解説は以上です。また次の記事でお会いしましょう!

Online Now