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実戦解説:中央のナイト

Rochan_to_Danke
Nov 9, 2014, 10:46 PM 1

皆さんこんにちは!今回も、某チェスサイトで見つけたシシリアン・ディフェンス(1.e4 c5)の試合を解説していきたいと思います。この試合は、持ち時間10分+1手8秒加算で行われました。

Anonymous (2088) VS Anonymous (1981)

1.e4 c5 2.Nf3 Nc6 3.Nc3 d6 4.d4

Diagram after 4.d4

中央の支配が重要な序盤では、中央(e、dファイル)に位置するポーンをそれ以外のポーンを交換するのはあまり良くないと考えられています。しかし、この局面ではポーンの交換が起こった後に白はナイトを強力なd4のマスに配置することができ、両方のビショップも展開しやすい状況です。これらのことから、4.d4には中央のポーンをそれ以外のポーンと交換することに見合った代償があったと言っていいでしょう。

4…cxd4 5.Nxd4 e6 6.Be3 Nf6

Diagram after 6...Nf6

白も黒も、お互いに駒を展開し、キャスリングの準備をしています。黒はやや狭いながらもd6、e6の中央にあるポーン達が5段目をしっかり押さえていますね。中央をがっちり押さえながら、ポーンを交換したことによってできたハーフ・オープンファイル一色のポーンしかないファイル)であるcファイルにクイーンやルークを配置して反撃を狙うのが、シシリアン・ディフェンスの基本的な指し方です。対する白は、中央に位置している駒とハーフ・オープンファイルのdファイルを使い、中央からの突破を狙います。

7.f3

Diagram after 7.f3

f2-f3という手は、シシリアン・ディフェンスではよくある一手です。一見キングの斜め前の斜線を開けてしまうので怖い一手に見えますが、この局面ではe3のビショップがf2の地点をしっかりと守っていますね。この手はe4のポーンをサポートすることでc3のナイトの負担を減らしたり、黒のNg4とe3のビショップを攻撃する手を防ぎながら将来的なg2-g4からのポーンストームを用意する、一石三鳥の一手です。

7...Bd7 8.Be2 Be7 9.Qd2

Diagram after 9.Qd2

どちらも駒をテンポよく展開しながらキャスリングを準備していますね。白は9.Qd2と指すことで安全なキングサイドにキャスリングするか、少し危険ですがルークをd1に配置でき、相手のキングサイドにポーンストームを仕掛けるチャンスを作れるクイーンサイドにキャスリングするかが選べるようになりました。

9...a6 10.a4 Qc7

Diagram after 10...Qc7

黒の9...a6は白のナイトがb5に侵入するのを防ぎながら、b7-b5とクイーンサイドのポーンを伸ばしてプレッシャーをかける手を狙っています。対する白は10.a4とし、その狙いを防ぎました。10...Qc7はシシリアン・ディフェンスの特徴とも言えるクイーンの位置。このクイーンは白の突破口であるdファイルから避け、cファイルにプレッシャーをかけながら間接的に中央の重要なマスであるe5の地点をコントロールしています。黒は白ナイトの侵入経路であるb5、d5の地点をがっちりと押さえているため、このクイーンは前回の記事のように何度も攻撃されることはないですね。

11.g4?!

Diagram after 11.g4?!

この手はやや不自然な一手です。このポーンを突くということはキングサイドにポーンストームを仕掛けるという意思の表れですが、そうなると白はクイーンサイドにキャスリングしたいということになりますね。しかし、この一手前に白が指したのは10.a4。もし白がクイーンサイドにキャスリングすると、黒はa4のポーンを狙うなどといった攻めのアイデアが生まれてしまいます。更にb7-b5と、ポーンを犠牲にしながらaファイルを開いて反撃するといった手も考えられますね。このように、キャスリングをしたサイドにあるポーンを進めると、そこから攻め込まれる可能性ができてしまうので、それらのポーンを突く時には注意が必要です。11.g4と指したことによって、白はキングサイドにもクイーンサイドにもキャスリングしにくくなってしまいました。

11...e5?!

Diagram after 11...e5?!

白が不自然な手を指した直後に、黒からもミスが出ました。11...e5は中央にいる強力なナイトを攻撃していますが、元々e6にいたポーンはd5のマスを押さえていた重要なポーン。この手で、d5のマスが白にとって味方のポーンに守られていて、相手のどのポーンにも攻撃されることがない拠点(outpost)となってしまいました。拠点にある駒はどかしづらいので、拠点を守る相手のピースを攻撃し、どかした後に味方の駒を配置するのが、拠点をうまく使うコツです。現在d5のマスを押さえている黒の駒はf6のナイトのみ。白はこのナイトをg4-g5とすることでどかし、Nd5とナイトを拠点に配置することができますね。黒は11...h6とgポーンの前進を防ぐのがベストムーブだったと思います。

12.Nf5 Bxf5 13.exf5? 0-0-0?

Diagram after 13...0-0-0?

キングサイドでポーンストームを仕掛けたい白は、13.exf5としてキングサイドにポーンを集めたかったのでしょうが、それが命取りになりかねない一手でした。黒はポーンストームを怖がってクイーンサイドにキャスリングしたのですが、先ほど言ったようにシシリアン・ディフェンスは黒がcファイルやクイーンサイドから反撃する定跡です。そのようなオープニングでクイーンサイド・キャスリングをし、キングをクイーンサイドに配置するのは不自然だと言えるでしょう。黒は、白のeポーンがfファイルに逸れた瞬間に、13...d5!!と中央から反撃するべきでした。

13...d5!!

Analysis diagram after 13...d5!!

白の中央の支配が弱まったのを利用してdポーンを進め、中央にポーンを二つ並べるこの手が絶妙手。d5-d4と、フォークをかける手も狙っていますね。d5のポーンは現在c3のナイトとd2のクイーンによって攻撃されていますが、タクティクスが存在するため白はこれを取ることができません。

14.Nxd5? Nxd5 15.Qxd5 Nb4!!

Analysis diagram after 15...Nb4!!

黒のナイトはd5のクイーンを攻撃しながら、同時にc2の地点でのフォークも狙っています。c7のクイーンもc2のポーンを攻撃しているため、白のクイーンが逃げた後にNxc2+とすれば黒勝勢となりますね。c2を狙うだけでなく、e5のポーンやb7のポーンも同時に守っていることから、c7の黒クイーンがシシリアン・ディフェンスでの好位置だということが分かると思います。では14.Nxd5ではなく、14.g5としてd5のポーンを守っているf6のナイトを攻撃する手はどうでしょう?

14.g5 d4!!

Analysis diagram after 14...d4!!

14.g5を完全に無視し、14...d4とフォークをかける手が正確な一手。白は15.gxf6とナイトを取る一手ですが。。。

15.gxf6 dxc3 16.bxc3 Bxf6

Analysis diagram after 16...Bxf6

16.Qxc3には16...Bb4!とクイーンをピンする手があるため白は16.bxc3とするしかありませんが、16...Bxf6の後は黒が圧倒的に指しやすいでしょう。白はどちらにもキャスリングしにくいし、cファイルとfファイルにある孤立ダブルポーンも負担となっています。黒はいつでもキングサイドにキャスリングできる上、Rd8からクイーンを攻撃する手や、Bh4+から中央に取り残された白キングを攻撃するというアイデアもありますね。このことから、白は中央の支配を弱める13.exf5ではなく、序盤ですべきことに忠実な13.gxf5とするべきでした。では、13...0-0-0と進んだ本譜に戻りましょう。

14.g5! Nd7 15.Nd5!

Diagram after 15.Nd5!

オンラインレーティング2000オーバーの白は、黒のミスを正確に咎めます。14.g5とf6のナイトを追い払った後に、ナイトを強力なd5の位置に据えました。このナイトはc7のクイーンとe7のビショップを攻撃し、隙を見てb6に飛び込む手も狙っています。黒はe6-e5と指してしまったため、d5の地点の支配が致命的に弱くなってしまいましたね。この局面は、中央に位置するナイトがどれだけ強力なものなのかが分かる好例だと思います。

15...Qb8 16.Qc3!!

Diagram after 16.Qc3!!

主導権を握った白は、更に攻めを続けます。16.Qc3はc6のナイトをピンし、間接的にe7のビショップを攻撃する一手。黒はこのビショップを逃がしましたが、16.Qc3にはもう一つの狙いがありました。この記事を読んでいる皆さんはそれが何か、分かりますか?

16...Bf8 17.Bxa6!! 1-0

Diagram after 17.Bxa6!!

この一手が16.Qc3のもう一つの狙いです。b7のポーンはc6のナイトを守っているため、このビショップを取ることはできません。更にb7のポーンがピンされているので、白は次にQxc6+と指す狙いもできましたね。クイーンが押し込められ、ポーンを失い完全に戦意喪失した黒はここで投了。粘るならcファイルを閉じる17...Nc5ですが、それは一時的な処置に過ぎません。

17...Nc5 18.Bb5

Analysis diagram after 18.Bb5

白は次にb2-b4とc5のナイトを攻撃し、cファイルをこじ開けることができますね。黒はb8のクイーンやf8のビショップ、そしてh8のルークが押し込められており、キングも非常に危険な場所に位置しています。これは、白勝勢でしょう。では、この試合から学べることを少しまとめてみましょうか。

  • 序盤では、中央(e、dファイル)のポーンをそれ以外のポーンと交換するのはあまり良くないが、シシリアン・ディフェンスでは白がd2-d4としてポーンの交換を持ちかけるメリットがデメリットを上回る
  • 一色のポーンしかないファイルのことを、ハーフ・オープンファイルという。ハーフ・オープンファイルには、クイーンやルークを配置して攻めを狙う。
  • キャスリングをしたサイドにあるポーンを進めると、そこから攻め込まれる可能性が生まれてしまう。
  • 味方のポーンに守られていて、相手のどのポーンにも攻撃されることがないマスを拠点(outpost)という。
  • 拠点を守っている相手のピースを攻撃し、どかした後に味方の駒を配置するのが、拠点をうまく使うコツ。
  • 序盤ですべきことの一つは、中央を支配すること。
  • 相手が中央の支配を弱める手を指した時は、中央から反撃できないかを考える。

今回の解説は以上です。また次の記事でお会いしましょう!

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