実戦解説:攻めの手筋

Rochan_to_Danke
FM Rochan_to_Danke
Nov 11, 2014, 3:43 PM |
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皆さんこんにちは!今回も、某チェスサイトで見つけた面白い試合を解説していきたいと思います。この試合は持ち時間10分+1手5秒で行われました。

Anonymous (1745) VS Anonymous (1803)

1.e4 e5 2.Nf3 Nf6

Diagram after 2...Nf6

2...Nc6とe5のポーンを守らずに、e4のポーンを攻撃して攻め合いを狙うこの定跡はペトロフ・ディフェンス。オープニング終了後は白の方がやや指しやすいものの、黒の陣形に隙がなく攻め込むのが困難なことから、ドローになりやすい定跡と言われています。

3.d4!? exd4 4.e5

Diagram after 4.e5

最もポピュラーな3.Nxe5と違い、3.d4は一時的にポーンを捨て、eファイルのポーンを伸ばしてナイトを攻撃する非常に攻撃的な一手です。黒はナイトが攻撃されているので避ける一手ですが。。。

4...Ng4?

Diagram after 4...Ng4?

4手目にいきなり黒からミスが飛び出しました。このナイトはe5のポーンにプレッシャーをかけているものの、そのポーンはf3のナイトによって守られています。なので5.h3とされたら、g4のナイトはh6に戻る手しかありませんね。ナイトは射程が短く、盤の端では力を発揮できない駒です。ナイトを盤の端に配置するためにそれを3度も動かし、他の駒の展開を遅らせている時点で、黒のオープニングは大失敗だと言えるでしょう。ここでは4...Ne4が正確な一手。5.Qxd4とクイーンでポーンを取られたらナイトの逃げ道が少ないように見えますが。。。

4...Ne4 5.Qxd4 d5

Analysis diagram after 5...d5

d5のポーンがナイトをしっかり支えており、黒は次にBc5とクイーンを攻撃しながらf2の地点を狙う手筋も存在します。白は6.exd6とアンパッサンを行うことができますが、黒は6...Nxd6とナイトでそれを取り返すことができますね。この変化でも黒はナイトを3回動かしていますが、d6のナイトは中央のマスを睨んでおり、将来的にNc6と駒を展開しながら白クイーンを攻撃することができるので、局面はほぼ互角と言えるでしょう。では、本譜に戻りましょう。

5.h3 Nh6 6.Qxd4 Nf5

Diagram after 6...Nf5

黒はナイトを中央に寄せながら白クイーンを攻撃しましたが、これでナイトを動かすのは4度目。クイーンを攻撃したいのであれば、6...Nc6と別のナイトを展開した方が良かったでしょう。駒の展開が重要な序盤で、同じ駒を何度も動かすのはあまり良くありません。

7.Qe4 g6 8.g4?!

Diagram after 8.g4?!

f5のナイトを攻撃する8.g4は悪い手だとは思いませんが、黒に8...Nh4とされるとナイトを一組交換することになります。駒の展開のしやすさと中央のスペースを確保している白は、残りの駒を展開して一気に攻め切りたいところ。そこで駒交換をして、攻め駒を減らされてしまうのは白としては面白くないと思います。自分なら、ここで8.Nc3としていたでしょう。

8.Nc3

Analysis diagram after 8.Nc3

8.Nc3は次にNd5として攻めを狙う手や、黒マスビショップを展開してクイーンサイド・キャスリングをする準備もしています。e4のクイーンがeファイルを睨んでいるためdポーンを突けず、キングサイドの黒マスが弱い黒が相当指しにくいのは一目瞭然です。では、8.g4と進んだ本譜を見ていきましょう。

8...Nh4 9.Nxh4 Qxh4 10.Bf4 Bc5

Diagram after 10...Bc5

黒マスビショップを展開してf2の地点を攻撃し、キャスリングの準備が整った黒ですが、まだ難を逃れたわけではありません。eポーンがなく、g7のポーンを突いたことによりf6の地点が白にとっての拠点となっています。将来的にNc3-Nd5-Nf6+とされると、黒にとって苦しい戦いが続くでしょう。

11.Bg3 Qg5 12.Nc3 Nc6 13.Nd5

Diagram after 13.Nd5

前回の記事でも触れたように、中央に位置したナイトはとても強力です。d5のナイトはc7のポーンを攻撃しながら、隙を見てf6の拠点に飛び込む手も狙っていますね。キャスリングをしていないキングに対してナイトでc7、またはc2の地点でフォークを狙うのは非常に効果的な攻めの手筋なので、是非覚えておいてください。

13...0-0 14.h4!

Diagram after 14.h4!

黒はc7のポーンを見捨てキャスリングをしましたが、白はそのポーンを無視して攻めを続けます。14.h4はクイーンを攻撃しながら次にh5とポーンストームを仕掛け、hファイルをこじ開ける力強い一手。ポーンストームは、キャスリングをしたキングに対して非常に効果的な攻めの手筋です。

14...Qd8 15.Nf6+ Kg7 16.h5

Diagram after 16.h5

黒クイーンを初期位置に押し返した白は、拠点に配置したナイトを軸にhファイルからの攻めを続行。このように、拠点に配置された駒はどかされにくく、攻めの軸として活躍することができます。黒はどうにかして中央にいる白キングを攻撃したいのですが、展開ができているのはビショップとナイトのみ。f8のルークは、e8の地点を完全に押さえられてるため、中央からの反撃を手助けすることができません。

16...d5 17.Qf4 Rh8 18.0-0-0

Diagram after 18.0-0-0

ルークをhファイルに回して必死に守る黒に対し、白はクイーンサイドにキャスリングし、キングの安全を確保しながらd5のポーンにプレッシャーをかけています。これで中央にいる白キングへの攻撃という黒の唯一の希望が打ち砕かれ、絶望的な局面だけが残りました。

18...Be6 19.hxg6 hxg6

Diagram after 19...hxg6 白の次の一手は?

h6のマスはh8のルークが守っているため、ルークを一組交換して攻めを緩和しようというのは自然なアイデアですが、白の次の一手を完全に見落としていました。この記事を読んでいる皆さんはその手が何か、分かりますか?

20.Ne8+!! 1-0

Diagram after 20.Ne8+!!

黒のクイーンにもルークにも守られているe8のマスにナイトを動かす絶妙手!20...Qxe8には21.Qxf6+からh8のルークを取ってチェックメイトとなりますし、20...Rxe8には21.Qh6+からhファイルでチェックメイトになるため、黒はこのナイトを取ることができません。チェックメイトを防ぐためには20...Kf8と逃げる一手ですが、h8のルークが落ちてしまうので黒はここで潔く投了しました。では、この試合から学べることを少しまとめてみましょう。

  • ナイトは射程が短いため、盤の端では力を発揮できない
  • 駒の展開が重要な序盤では、同じ駒を何度も動かすのは良くない
  • キャスリング前のキングへの効果的な攻めの手筋の一つはナイトでc7、またはc2の地点を狙うこと。
  • キャスリング後のキングへの効果的な攻めの手筋の一つはポーンストーム
  • 拠点に配置された駒は、攻めの軸として大活躍できる。

今回の解説は以上です。また次の記事でお会いしましょう!