x
Chess - Play & Learn

Chess.com

FREE - In Google Play

FREE - in Win Phone Store

VIEW

実戦解説:ビショップとナイト

Rochan_to_Danke
Nov 13, 2014, 3:02 PM 3

皆さんこんにちは!今回は某チェスサイトで見つけた試合を使って、チェスプレーヤーの永遠のテーマである、ビショップとナイトの交換について考えていきたいと思います。

自分のチェス入門を含む、殆どの入門書やサイトではビショップとナイトの価値はどちらもポーン3個分として記されています。初心者~初級者の試合ではナイトのトリッキーな動きが見落とされやすいため、その評価は大体合っていると言えるでしょう。しかし、客観的に見ると射程の長いビショップの方が、ナイトより使いやすい駒だと思います。

ナイトは他の駒を飛び越えることができる強力なアタッカーですが、射程が短く敵陣に近づかなければその真価を発揮できません。更に、盤の端ではあまり活躍できないという欠点もありますね。相手が序盤ですべきことを意識して指しているなら、中盤でナイトを中央に配置するのはそう簡単ではないはず。

対するビショップは、白マスか黒マスにしか動けませんがその射程は長く、両サイドで敵陣にプレッシャーをかけながら自陣を守るということができます。盤の端にいても中々の数のマスを押さえることができることから、ナイトより活躍できる場所が多く、使いやすい駒であると言えるでしょう。

ただ、ビショップとナイトの強さは局面に大きく左右されるのも事実です。では、この試合ではビショップとナイトのどちらが強かったのか、早速見ていきましょう。この試合は、持ち時間7分+1手6秒加算で行われました。

Anonymous (1917) VS Anonymous (2040)

1.e4 e5 2.Bc4 Nf6 3.Nc3 Nxe4!?

Diagram after 3...Nxe4!?

2.Bc4といきなり死のマスであるf7を狙ってきた白に対し、黒は2...Nf6とe4のポーンを攻撃しました。そして、ポーンを守る3.Nc3を見た瞬間に、黒はナイトを捨てる作戦を実行します。一見ナイトが落ちるように見えますが、4.Nxe4に対しては4...d5とフォークをかけることができますね。

4.Nxe4?! d5

Diagram after 4...d5

いきなりナイトを捨てられて混乱したのか、4手目に白からミスが飛び出します。白にはこのフォークに対するうまい避け方がないので4.Nxe4とナイトを取らず、他の手を模索する必要がありました。白の4手目には4.Qh5と4.Nf3という、二つのポピュラーな指し方があります。

4.Qh5!?

Analysis diagram after 4.Qh5!?

この手はe5のポーンにプレッシャーをかけながら、c4のビショップと強力してf7の地点でのチェックメイトを狙っていますね。e4のナイトも浮いていて、黒は絶体絶命に見えますが。。。

4...Nd6! 5.Qxe5+ Qe7

Analysis diagram after 5...Qe7

4...Nd6はナイトを逃がし、c4のビショップを攻撃しながらf7を守るうまい一手。白はe5のポーンを取りチェックをかけますが、5...Qe7でクイーン交換を強制されます。クイーン交換後、黒はd7のポーンが突けず、白にはNd5とe7のビショップとc7のポーンを攻撃する狙いなどがあることから白の方が少し指しやすいとは思いますが、先手を持つ白としては強力な攻め駒であるクイーンを交換されるのは面白くないでしょう。では、もう一つの変化である4.Nf3を見ていきましょう。

4.Nf3!? Nxc3 5.dxc3!

Analysis diagram after 5.dxc3!

中央の支配が重要な序盤では、中央のポーンをこのようにcファイルに動かしてしまうのは勿体ないように見えますが、ポーンダウンの白が必要なのは矢印のように駒のラインを開いて速攻を仕掛けること。例えば5...d6とe5のポーンを守る手に対しては、6.Ng5!とする手が成立しますね。

5...d6? 6.Ng5!

Analysis diagram after 6.Ng5!

黒にはf7のポーンを守るうまい手(6...Be6に対しては7.Bxe6 fxe6 8.Qf3!でf7とb7を狙う)がなく、白勝勢と言えるでしょう。なので黒は5...d6とe5のポーンを守っている暇がなく、ポーンを取り返されてしまいます。自分は今年9月にワールドユース日本代表の阿部真大君とトレーニングを行い、その試合はペトロフ・ディフェンスで始まりましたが、1.e4 e5 2.Nf3 Nc6 3.Bc4!? Nxe4 4.Nc3とトランスポーズしました。トランスポーズとは特定の局面に違う手順で辿り着くというコンセプトで、それについて自分が書いた記事があるのでもし宜しければそちらもご覧ください。この変化は1.e4 e5から始まる変化の中でもあまり知られていない、非常に面白い変化だと思います。この記事を読んでいる皆さんは、是非一度実戦で試してみてください。

さて、オープニングについての話が長くなってしまいましたが、4.Nxe4?! d5と進んだ本譜を見ていきましょう。

5.Bxd5 Qxd5

Diagram after 5...Qxd5

ポーンフォークをかけられた白はビショップでd5のポーンを取り、結果的にビショップとナイトを交換したことになりました。しかし、上記の局面のように中央のポーンの交換が起こったオープン・ポジションではビショップが活躍できる斜線が多く、ビショップの方がナイトより強い駒となります。白はできれば5.Bd3とビショップを逃がしたかったのですが、5...dxe4 6.Bxe4 f5!とされると苦しい展開が続くでしょう。

5.Bd3 dxe4 6.Bxe4 f5!

Analysis diagram after 6...f5!

白のビショップの逃げ道は二つありますが、f3に逃げるとg1のナイトが展開しづらくなりますし、d3に逃げるとdポーンが突けなくなり、c1のビショップが展開しにくくなりますね。更に中央も黒の二つのポーンにがっちりと押さえられており、黒の方が指しやすくなります。では、本譜を見ていきましょう。

6.f3 Nc6 7.a3?! Be6 8.Nc3?!

Diagram after 7...Be6

テンポよく駒を展開している黒に対し、白から次々と不自然な手が飛び出します。7.a3はb4のマスを押さえる手ですが、駒の展開を助ける手でもなく、中央の支配にも絡んでいませんね。そして8.Nc3はクイーンを攻撃するためだけに中央にいたナイトを戻し、同じ駒を何度も動かす手です。

8...Qd8 9.d3 Bc5

Diagram after 9...Bc5

8...Qd8はクイーンを初期位置に戻す手ですが、同時に将来的なQh4+を狙っています。そして9.d3とビショップの展開の道を開けた白に対し、黒は黒マスビショップを強力な斜線に配置しました。このビショップはg1の地点を睨んでいるので、白はキャスリングをすることができません。

10.Nge2 Qh4+ 11.Ng3 f5

Diagram after 11...f5

キャスリングができない白に対し、黒は猛攻を仕掛けます。11...f5は次にf4として、ピンされているナイトを攻撃する狙い。ピンされている駒を集中砲火して駒得を狙うのが、ピンをうまく使うコツです。

12.Kf1 e4!

Diagram after 12...e4!

白は12.Kf1とキャスリングの権利を放棄してまでピンを外しましたが、黒の12手目が強力な一手。ポーンを捨てることになりますが、ポーンの交換が行われることにより、ビショップの斜線を更に増やす狙いです。このように、ビショップを持っている側はポーンの交換を積極的に行い、局面を開いてビショップが活躍できる場所を作ってあげるようにしましょう。

13.dxe4 Bc4+ 14.Nce2 0-0

Diagram after 14...0-0

黒は開いた斜線を使って白マスビショップを攻めに参加させ、14...0-0とすることでキングの安全を確保し、ルークをfファイルに配置することができました。強力な黒のダブルビショップに対し、白のナイトはキングを守るだけで精一杯です。記事の最初に書いた通り、ナイトは優秀なアタッカーですが、射程が短いため守備に追われると攻撃にまったく参加できず、その真価を発揮することができません。反対に、c4のビショップは攻撃に参加しているだけでなく、f7-f5によって開いた黒キングの斜め前の斜線を守っているので、白はQd5+からカウンターを仕掛けることができませんね。

15.b3 Rad8 16.Qe1 fxe4 17.Nxe4

Analysis diagram after 17.Nxe4 黒番次の一手は?

白はe4のポーンを取り返し、c5のビショップを攻撃しながらクイーンにディスカバードアタックをかけることで黒の攻めを緩和しようとしますが。。。

17...Rxf3+!! 18.gxf3 Qh3#

Diagram after 18...Qh3#

白キング前のもう一つの斜線をこじ開ける17...Rxf3が絶妙手!c5のビショップが白キング回りの黒マスを押さえているため、18...Qh3でチェックメイトとなりました。この試合はオープン・ポジションでビショップがナイトを圧倒した好例だったと思います。では、この試合から学べることを少しまとめてみましょう。

  • トランスポーズとは、特定の局面に違う手順で辿り着くというコンセプト。
  • 中央のポーンの交換が起こった局面をオープン・ポジションと言い、オープン・ポジションではビショップの方がナイトより強い場合が多い。
  • 序盤ですべきことは無視しない。
  • ピンされている駒を集中砲火して駒得を狙うのが、ピンをうまく使うコツ。
  • ビショップを持っている側はポーンの交換を積極的に行い、ビショップが活躍できる場所を作る。
  • ナイトは自陣の守備に追われると、攻めに参加しづらい。

今回の解説は以上です。また次の記事でお会いしましょう!

Online Now