実戦解説:KIA

Rochan_to_Danke
FM Rochan_to_Danke
Nov 21, 2014, 2:55 PM |
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皆さんこんにちは!今回も、某チェスサイトで見つけた面白い試合を解説していきたいと思います。この試合は持ち時間13分切れ負けで行われました。

Anonymous (1862) VS Anonymous (1849)

1.Nf3 c5 2.e4 d6 3.g3!?

Diagram after 3.g3!?

試合は1.Nf3で始まるレティ・オープニングから、シシリアン・ディフェンスへとトランスポーズしましたね。そして2.d6に対し白は3.g3と指しました。この変化はキングズ・インディアン・アタック、別名KIAと呼ばれるオープニング。名前の通り、キングズ・インディアン・ディフェンスを白で指すオープニングです。白はポーンをd3に進め、キングサイドへと向かうポーンチェーンを作って駒を矢印のように展開し、将来的にキングサイドでの攻撃を目指します。

3...Nc6 4.Bg2 f5!?

Diagram after 4...f5!?

4...f5は白のeポーンを攻撃し、中央のポーンとそうでないポーンを交換することで中央の支配で優位に立とうという作戦です。しかし、黒はポーンをc5とd6に配置しているため黒マスの支配はできているものの、その代わりに白マスの守りが手薄になっています。黒がfポーンを進めたことによってe6の地点が白にとっての拠点になる可能性があり、もし白がe6やd5のマスに駒を配置することができれば白はかなり有利に試合を進めることができるでしょう。自分ならここで4...e6か4...g6、または4...Nf6とキングサイドのビショップの展開の準備やナイトを展開し、キャスリングを目指していたと思います。

5.d3 Nf6 6.Nbd2 e5 7.0-0

Diagram after 7.0-0

白は駒の展開をし、キャスリングをすることでキングの安全を確保しました。黒もやや展開が遅れていますが、6...e5と指すことで黒マスビショップが展開できるようになり、7...Be7からキャスリングをすることができますね。

7...Qc7?!

Diagram after 7...Qc7?!

4...f5と指して駒の展開を遅らせた黒は、これ以上それを遅らせる暇はありませんでした。ここは7...Be7と指し、次の手でキャスリングを目指すのがベストムーブだったでしょう。

8.Nh4!

Diagram after 8.Nh4!

黒のキャスリングが遅れたことを利用して、白は速攻を仕掛けます。8.Nh4は一見ナイトを盤の端に動かす不自然な一手ですが、f3のナイトを動かすことでf5のポーンを攻撃しながらビショップとクイーンの道を開け、攻めの態勢を整えています。更にfポーンを突けるようになったので、白は将来的にf2-f4突きからキングサイドでの攻撃を狙えるようにもなりました。

8...g6?!

Diagram from 8..g6?!

黒の8...g6はポーンを守る一手ですが、9.exf5 gxf5と進んだ時にf5のポーンが弱点として残る上、gポーンが動いてしまうことでキングサイドにキャスリングしづらくなりますね。黒は苦しいですが、8...fxe4と取る必要があったでしょう。

8...fxe4 9.Nxe4

Analysis diagram after 9.Nxe4

白はナイトでポーンを取り返し、黒のキングサイドの守りの要であるf6のナイトとの交換を迫ります。f6のナイトがいなくなれば、白はQh5+などといった手から攻めを開始することができますね。黒はキングサイドへのキャスリングを諦め、9...Nxe4 10.Bxe4 Be6とクイーンサイドキャスリングを準備するのがベストでしょう。もし、黒がキングサイドへのキャスリングにこだわった場合、以下のような変化が生じる可能性があります。

9...Be7 10.Bg5 0-0

Analysis diagram after 10...0-0 白番次の一手は?

10...0-0で黒はf6のナイトへの攻撃を完全に阻止したように見えますが、ここで白に絶妙手があります。この記事を読んでいる皆さんは、それが何かわかりますか?

11.Nxf6+! Bxf6 12.Bd5+ Kh8 13.Qh5!

Analysis diagram after 13.Qh5!

白はナイトを交換し、ビショップをd5に動かしてチェックをかけ、黒キングをコーナーに追い詰めます。そして、13.Qh5が黒の息の根を止める一手。このクイーンはhポーンをピンし、次にNg6#とチェックメイトを狙っています。黒はこれに対する有効な守りがないので、ゲームオーバーです。11.Nxf6+に対して11...gxf6と取ることはできますが、キングの前がスカスカになってしまい、12.Bh6から白の攻めが続くでしょう。では、本譜に戻りましょうか。

9.gxf5 gxf5 10.f4!

Diagram after 10.f4!

10.f4はf1のルークの道を開け、f5のポーンに対する攻め駒を増やす狙い。どのポーンにも守られることのないポーンというのは非常に弱く、白はそのことをちゃんと理解しているのが10.f4という手から分かりますね。

10...Ng4 11.fxe5 Nxe5 12.Nxf5

Diagram after 12.Nxf5

予定通りfファイルを開いた白は、f5のポーンをかすめ取ってポーンアップとなりました。一見12...Bxf5から13...Ne3とクイーンとルークにフォークをかけられるように見えますが。。。

12...Bxf5 13.Rxf5 Ne3 14.Qh5+

Diagram after 14.Qh5+

g4のナイトが動いたことで、白クイーンの道が開きました。白はこのことを利用して、チェックをかけながらクイーンをナイトの利きから逃していますね。

14...Ng6 15.Qe2 Qe7

Diagram after 15...Qe7 白番次の一手は?

15.Qe2とe3のナイトをピンした白に対し、黒はクイーンをe7に据えてピンを外しました。ピンが外れたことで、e3のナイトは次にf5のルーク、g2のビショップ、そしてc2のポーンのどれかを取ることができますね。ここで白は相手を驚愕させるようなとんでもない一手を指したのですが、この記事を読んでいる皆さんはそれが何か分かりますか?

16.Ne4!!

Diagram after 16.Ne4!!

駒の当たりを全て無視し、黒マスビショップの道を開けながらナイトを攻めに参加させる16.Ne4が絶妙手!e3のナイトが浮いているため、黒はルークを取る一手ですが。。。

16...Nxf5 17.Bg5! Qe5?

Diagram after 17...Qe5?

白のルークを犠牲にした攻めのプレッシャーに負けたのか、黒から致命的なミスが飛び出しました。白が正確に指せば黒は攻めを止めることはできませんが、17...Nd4と逆に白クイーンを攻撃し、白陣にもプレッシャーをかけるのがベストだったでしょう。

18.Nf6+ Kf7 19.Bd5+

Diagram after 19.Bd5+

白は白マスビショップも攻めに参加させ、試合を決めにかかります。黒キングがe7やd8に逃げると、Ng4+とクイーンを攻撃しながらディスカバードチェックをかけることができますね。クイーンを取られたくない黒はキングをg7に逃がしましたが。。。

19...Kg7 20.Nh5#

Diagram after 20.Nh5#

二つのビショップが黒キングの逃げ道を封鎖し、20.Nh5でぴったりチェックメイトとなりました。黒の直接的な敗因は、駒の展開が遅れてしまったことでキャスリングができなかったことだと思います。では、この試合から学べることを少しまとめてみましょう。

  • キングズ・インディアン・アタック(KIA)は、キングズ・インディアン・ディフェンスを白で指すオープニング。
  • 中央以外のポーンを中央のポーンと交換すると、中央の支配で優位に立てる可能性がある。
  • どのポーンにも守られることのないポーンは非常に弱く、それを集中して攻撃することで駒得を狙える。
  • 駒の展開が遅れると、キャスリングが遅れてしまう。
  • キャスリングが遅れると、相手に様々な攻めの可能性を与えてしまう。

今回の解説は以上です。また次の記事でお会いしましょう!