第50回全日本選手権全国大会 part3

skramchi
skramchi
2017/11/20 4:15 |
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 こんにちは、skramchiです。
 part2に続きまして第50回全日本選手権から記譜を解説していきたいと思います。

 今回は第10ラウンドから。白番。

 

 この対局は予定の15時30分から30分遅れ、16時からの対局開始でした。
 中盤で私にミスがあり、そこから粘り粘り、終わってみると窓の外は真っ暗で、他のプレイヤーは誰も居ませんでした。終了時刻は21時30分頃。5時間半の対局の末にドローとなりました。
 手数は80手かかり、大会で使う公式の記譜用紙では危うく足りなくなるところで、2枚目の記譜用紙を貰ったことが印象的でした。
 
1.d4 d5 2.c4 e6 3.Nc3 Nf6 4.cxd5 exd5 5.Bg5 Be7 6.e3 Be6 7.Bd3 Nbd7 8.Nge2 c5 9.O-O O-O 10.Rc1 c4 11.Bb1 a6 12.f3 Re8 13.h3!?
D35 Queen's Gambit Declined, exchange, positional line。
 白の目的は8.Nge2としてfポーンを自由にし、f2-f3としてからのe4突きによる強力なセンターポーンを形成すること。
 13.e4では、13...Nxe4! 14.Nxe4 dxe4 15.Bxe7 Qxe7 16.fxe4 b5となり、白は目的を達成しますが、黒もクイーンサイドでのポーンマジョリティーが強力なために互角。マイナーピースの交換が早すぎて、こちらとしてはあまり面白くありません。
 ちなみにこの手順の途中に14...Bxg5?として黒がポーン得を狙うと、15.Nxg5 Qxg5 16.f4 Qh5 17.f5となりピースダウンします。
 13.h3!?は、13.e4 dxe4 14.fxe4 Ng4を嫌った手。e3マスを脅かされ、この後15.Bxe7 Qxe7 16.Qd2 Qh4などとなり厄介。
13...Nf8 14.e4? dxe4?
 お互いに悪手。白はまだe4を突くべきではありませんでした。
 今度は黒の白マスビショップの退路を塞ぐd7ナイトがいません。14...Nxe4でポーンダウン。
 白は一旦14.Bf4として黒のディスカバードアタックを事前に回避すべきでした。
15.fxe4 Qb6?
 ここでも黒は15...Nxe4とできました。
 15...Qb6?は黒が実行すべきプランであるクイーンサイドでのポーンマジョリティーによってエンドゲームで勝つ戦略に必要なb7-b5を妨害しています。
16.Qc2 Rad8 17.Kh1 Nh5 18.Bxe7 Rxe7 19.Rf3 Nf6 20.Rd1 Qc7 21.d5?!
 疑問手。
 クラシカルセンター(*)の優位性は、その機動力にあります。適時にポーンを突くことで敵のピースを追いやり、センターの突破に伴って戦術的な狙いを作ったり、パスポーンを作ったりできます。

 逆にどちらかのポーンを突かされて、他方をブロッケードされると、たちまちに動的な強さを失い、敵陣に突出したポーンはそれ自体が負担になります。


 *クラシカルセンター

 d4、e4にポーンが並び、かつ、相手は相手はd6ポーンのみ、もしくはe6ポーンのみ、もしくはセンターにポーンがない状態。


(チェス戦略大全Ⅱより)
 
 この21.d5?! は時期尚早で、後にナイトによってe5マスをブロッケードされ、クラシカルセンターは完全に威力を失います。
21...Bc8 22.Nd4 Ng6 23.Rff1 Nh5 24.Rfe1 Ng3+ 25.Kg1 Qf4 26.Nce2?
 悪手。ポーンが落ちます。
26...Qe3+ 27. Kh2 Nxe4
28.Nc3 Qg3+ 29.Kg1 Ng5 30.Rxe7 Nxe7 31.Qe2?! Nxh3+ 32.Kf1 Ng6 33.Ne4 Qf4+ 34.Nf3 Bg4 35.Nf2 Nxf2 36.Kxf2 Qc7
 21...d5?!の明らかに不自然なポーン突きを自覚して以降、内心の焦りが着手に影響し、不正確な手がかなり続いてしまいました。結果2ポーンダウン。
 しかしまだ決定的な局面ではないと信じて指し続けます。
37.Qe4 Qb6+ 38.Kf1 Bxf3 39.gxf3 Qb5 40.Kg1 Re8 41.Qd4 Rd8 42.Kf2 Qb4 43.d6 Nf8 44.Be4 Ne6 45.Qe5 g6 46.Rd5 Qa4 47.Bb1 Qc6 48.Be4 Qd7 49.Qf6 Re8 50.f4 Qd8 51.d7 Rf8 52.Qe5 Qh4+ 53.Kf1 Rd8 54.f5 Qf4+?! 55.Qxf4 Nxf4 56.Rd6
 白のハッタリ込みのアタックが功を奏したのか、黒に悪手。このクイーン交換の後、白の残ったピースの配置が優れているために、黒の優位がほとんどなくなります。
56.Rd6 Nd3 57.Bxb7 gxf5 58.Bxa6 Nxb2 59.Bc8 c3 60.Rc6 Na4 61.Rc4 Nb6 62.Rxc3 Nxd7 63.Rc7 Nb6 64.Bxf5 Rd2 65.Bxh7+!
 長い長い戦いに終止符を打つ一手。黒はプロモショーンの選択肢を失い、後はキング、ルーク、ナイトの連携によって白キングをチェックメイトするしか勝つ手はありません。
 しかしそれもルーク交換が起こると破綻するので、実行は困難を極めます。
65...Kxh7 66.Rxf7+ Kg6 67.Rf2 Rd1+ 68.Ke2 Ra1 69.Kd3 Nd7 70.Kc3 Nf6 71.Kb2 Re1 72.a4 Re5 73.Kb3 Kf7 74.Ra2 Ra5 75.Kb4 Ra8 76.a5 Ke6 77.Kb5 Kd7 78.Kb6 Kc8 79.Rc2+ Kb8 80.Rd2 1/2=1/2
 最後は黒からのドローオファーによって終局しました。
 途中もう駄目かと思いましたが、最後まで諦めずに指すことが出来てよかったです。
 

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 ここまで閲覧して頂きありがとうございました。

 後はジャパンリーグの記事を書けば今年参加した大会は全て終わりになります。(ジャパンリーグって8月なんですがそれは……)

 とりあえず年末までには書き終えて、新年を迎えたいと思います。