キングズ・インディアン・アタック

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白が、セミオープンゲーム(Sicilian, Frenchなど)に対してしばしば採用するフォーメーションとして、キングズ・インディアン・アタック(KIAとも)と呼ばれるフォーメーションがあります。

以下のような形を指して呼ばれます。

黒番のKIDを白番で指すような形ですが、白が積極的にオープニングで良さを求めていくというよりは、手堅く戦略的な形を目指す際に指されるオープニングです。

私はSicilian 2... e6型に対してはこの形を指すことにしています。2... e6型のオープンシシリアンは独特の感覚が必要な局面になることが多いので、その局面にするよりは、より手堅いクローズドな局面を狙っていきたいと思っているためです。

OTBのゲームより、この定跡のゲームを紹介します。白が私です。

1. e4 c5 2. Nf3 e6 3. d3

この辺りの手順は好みがわかれるところですが、私は特に手順を気にしていません。

3... Nc6 4. g3 g6 5. Bg2 Bg7 6. O-O Nge7 7. Qe2 O-O 8. c3

白陣は手堅く、大きな弱点はありません。一方黒陣も、ややスペースは狭いもののd5, f5などでのブレイクの可能性があるため、大きく問題ではありません。戦略的な思考が必要になる局面だと思います。
8... e5

...f5を狙い、スペースを拡大する狙いと感じましたが、ややd5が弱くなります。長期的にはd5にピースを置く形を狙っていきたいところです。

9. Be3 d6 10. Rd1?

白からd4を突いて駒交換をすると、d5,d6が黒の弱点として残ります。そのために先にルークを回っておこうという手ですが、戦術的には失敗します。

10... f5!

a2-g8ダイアゴナルが安全であることを利用した手で、この手で黒にはスペースの問題が一切なくなります。

11. exf5 gxf5

ここではマイナーピースで取り返す手を読んでいましたが、11... gxf5もポーンをセンターに向かって取る、という意味では原則通りの手です。

12. Bg5 h6 13. Bh4

若干の不利を自覚して、局面を複雑化させようと思った手です。h4のビショップを取らせる間に、白は手を作れないかと考えました。

13... Qe8 14. Na3

逆サイドからのナイト跳ね。

14... Ng6 15. Nb5 Qd7 16. c4 a6 17. Nc3

一連の手で、ナイトがd5に向かう準備はできました。

17... Nd4 18. Nxd4 cxd4 19. Nd5

ナイトは確かにセンターのアウトポストに置くことができましたが、白はビショップの働きが悪く、センターを抑えられているのも合わせて、決して楽な局面ではありません。

ただし、本局の結末から考えると、このナイトは黒のb6, c7というマスを抑えているうえ、f6から黒キングにチェックがかかることと、f4のマスを黒が使えないようにしていることが大きく、いるだけで大きなプレッシャーを与えられたピースであったかと思います。

19... Nxh4 20. gxh4 Qd8 21. h5 f4 22. Kh1

この辺りで、ディフェンスのアイディアが見えてきました。白はKh1-Rg1とすることで、オープンなgファイルをいったん抑えてしまいます。そのあと、センターの白マスを白が利用できることを使って、Be4、場合によってはBg6とすればgファイルが止まるため、受かると読みました。さらに、一直線に進んだ場合の24手目の受けが見えたため、受け切れそうな気がしてきました。

センターにいる1つの良いポジションのピースが、サイドアタックに対するディフェンスにも働くという形になったかと思います。

22... Qh4 23. Rg1

黒からは、明確にRf5-Rxh5のスレットがあります。

23... Rf5

受けを見つけてください!

24. Be4

アクティブディフェンスですが、コンピュータ検討によれば24. Bf3!でも十分だったようです。

24. Be4のポイントは、24... Rxh5?に対して25. Qxh5! Qxh5 26. Nf6+があることです。d5のナイトが役に立っています。

24... f3 25. Bxf3 Kh8 26. Rg3

ここも難しかったところで、26. Rg4と最後まで悩みました。26. Rg4 Qxh5の後が成算が持てなかったのですが、コンピュータによれば27. Rag1!で良いようです。

26... Be6 27. Nc7

最終的に、d5のナイトはc7からフォークをかけるという働きをしました。

27... Bf7 28. Nxa8 Bxh5 29. Bxh5 Rxh5 30. h3 Qd8 31. Qxh5 1-0

何回か定跡を使ってみた感想としては、白がアドバンテージを取りに行くオープニングではないため、黒が的確に対処すると中盤は黒良しで進行することもあるオープニングだと感じています。ただし、反発力を含んだ形であるため、カウンターが決まりやすい形とも思います。

ここまで読んでいただいて、ありがとうございました。