Korchnoi Gambit研究中(1)

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2017/08/11 5:12 |
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お久しぶりです。

現在、白番でのFrench Defenceとして、Tarrasch VariationからのKorchnoi Gambitを研究しています。

研究用のメモとしてブログに残します。一応エンジンで検証はしていますが、正しさは保証しませんのであしからずご了承ください。

 

1. Korchnoi Gambitまで

 Korchnoi GambitはFrench Defenceに対して白番が採用する定跡です。名前の由来であるGM Korchnoiは黒番でFrenchを採用していたことで有名です。世界選手権にも2度登場した強豪中の強豪です。

FrenchからKorchnoi Gambitに入る手順は以下のような感じです。

 

1. e4 e5 2. d4 d5 3. Nd2

Tarrasch Defenceです。黒の対応としては3... c5 (Tarrasch Open)と3... Nf6 (Tarrasch Closed)に分かれます。個人的な印象ですがClosedのほうがFrenchっぽいポーンストラクチャーになるのでよく見る気がします。

3... Nf6 4. e5 Nfd7 5. Bd3 c5 6. c3 Nc6

このあたりは定跡です。Closed TarraschはBd3のラインで使います。

7. Ngf3!?

 

この手がKorchnoi Gambitに入るために必要な手です。Main Lineは7. Ne2です。7. Ne2 cxd4 8. cxd4 f6 9. Nf4!?というラインも激しいことで有名です。

 一見自然な手ですが、黒には次の手があります。

7... Qb6

これでポーンダウンを避けるためには白は8. Qa4か8. dxc5という手しかなく、主導権を黒に握られることになりそうです。そのため、以下のようにポーンを捨てます。

8. O-O cxd4 9. cxd4 Nxd4 10. Nxd4 Qxd4

一見白が大変まずそうな局面ですが、白には次の手があります。

11. Nf3 Qb6 12. Qa4!

11. Nf3で、e5のポーンとd3のビショップが同時に守れます。黒クイーンの退却に対し、12. Qa4!と指します。このあたりがKorchnoi Gambitの基本形だと思います。

 この局面、黒の利点は明確で、ポーン、それもセンターポーンが白より1つ多いです。このまま駒交換が進めばdポーンもプロテクテッドパスポーンになりそうです。これは中盤-終盤では明確なメリットとなります。

一方欠点としては駒展開が若干遅れていることがありそうです。12... Nc5とは指せませんね。

白の利点・欠点は黒の逆で、駒展開は進んでいるが駒損しています。

この後、白の方針としてはQg4からキングサイドアタックを狙います。キングサイドアタックは以下の戦略に基づくはずです。

  • 黒は黒マスビショップを展開しないといけない。
  • 黒が黒マスビショップを展開すると、g7ポーンが浮くため攻撃対象になる。
  • 白のクイーンがg4にいても、黒はNf6とは飛べず、ポーンチェーンで白マスビショップのラインが閉じているためクイーンに対するアタックを受けない。
  • Frenchの常套手段である、黒Pf6からセンターポーンを清算するラインはキングの斜めのラインが開くため、このラインの白Qg4の後では成立しないことが多い。
  • f7ポーンをプロテクトすることが難しい。ナイト・白マスビショップではすぐに守れず、当然黒マスビショップでも守れない。
  • cファイルが素通しのため、キングサイドアタックを受けた際にクイーンサイドに逃げ込めなくなることがある(Rac1が決め手になることがある)

そのため、黒のディフェンスは、白Qg4を防ぐことを主眼に考える必要があるはずです。Main Lineは12... Qb4!です。

データベースを見ると、主に黒のディフェンスは3通りあるようです。

  • 12... Bc5
  • 12... Be7
  • 12... Qb4

Main Lineは12... Qb4で、有力なSide Lineは12... Be7らしいですが、今回は12... Bc5を見てみようと思います。

2. 12... Bc5の変化

一見自然な12... Bc5ですが黒は正確に受けないといけなくなります。変化を見てみます。

12... Bc5 に対しては、13. Qg4! が相当大変な手です。受け方は主に2通りで、13... Kf813... g6があります。

2A) 12... Bc5 13. Qg4! Kf8

13... Kf8に対しては、14.Bd2!?が面白い手。2つめのポーンを黒に献上する手ですが、14... Qxb2?!には15. Qf4!として次のNg5が破壊的です。例を挙げると15. Qf4 Qb6 16. Ng5 Nxe5 17. Qxe5 f6 18. Qg3 fxg5 19. Bxg5 Qd6 20. Be3(d4を突かせてBe4を作る)のような感じで攻めが続きます。

キングサイドを守る手、例えば14... Be7等であれば15. b4としてc5にピースを置かせないようにしてからルークをcファイルに回してcファイルを抑えてしまえば互角-やや指しやすい形勢と思います。

2B) 12... Bc5 13. Qg4! g6

13... g6に対しては、黒マスの弱点を突く14. Bh6!があります。やはり14... Qxb2には15. Rab1!として、15... Qxa2?!と3つめのポーンを取られたら16. Ng5とします。キングサイドを守る16... Be7には17. Bb5として攻撃が続きます。黒ナイトがピンされているのでNxe6-Qxe6が効きやすいのがポイント。

15... Qa3のほうがよく、16. Bb5 a6 17. Bxd7 Bxd7 18. Rxb7となります。

 14... Bf8が本線ですが、15. Qf4 Qb4 16. Qc1 Qc5 17. Bxf8 Qxc1 18. Raxc1 Kxf8 19. Rc7として駒の効率で十分ポーン損の代償は取れているでしょう。

Be7とQb4についてはそのうち書きます。