Leningrad Dutch

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2018/01/20 6:16 |
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チェスサークルの例会から、自戦解説を一つ。黒が私です。

 

1. d4 f5!?

Dutch Defenseです。白の方とは練習で当たっており、私がグリュンフェルドを使うことを知られていたので避けた、というのが一つ。私は基本的に同じ方と当たるときには2回同じオープニングを使わないというのがもう一つです。

 

2. g3 g6 3. Bg2 Nf6 4. c4 d6 5. Nc3 Bg7 6. Nf3 O-O 7. O-O

ここまでは、Leningrad Dutchと呼ばれる定跡です。Dutch Defenseの中では手堅くポジショナルなゲームになる変化として知られています。

ここがゲームの一つの分岐点です。7... Qe8(Main Line), 7... Nc6等の手もあります。私がチョイスしたラインは、7... c6です。黒番でGM Hikaru Nakamuraがしばしば指すラインで、Warsaw Variationと呼ばれます。

この手のポイントは8. d5に対して8... e5!と切り返せることで、Dutchらしくセンターからキングサイドにかけてスペースを主張します。あと、個人的に白のキングサイドフィアンケットに対してb7-c6のポーン形が好きというのもあります。

本譜は、

8. Re1 Qc7!?

と進みました。他には8... Ne4!も面白い手です。e4のマスを黒が使っていくのが良いプランになります。

9. e4! fxe4!

黒がNe4を指さなかったため、9. e4はおそらくベストタイミング。これより遅らせると、突けなくなる可能性もあります。対して私は9... fxe4。これでセンターポーンは白1つに対して黒2つになります。黒としてはセンターポーンの数という主張ができ、白としてはクイーンサイドのスペースアドバンテージという主張ができました。お互いに主張がある局面だと考えられます。

Diagram After 9... fxe4

10. Nxe4 Nxe4 11. Rxe4 Bf5

9... fxe4を指すあたりで、この辺りまで読んでいました。ここで白にはルークを縦に逃げる手と横に逃げる手があると読み、縦に逃げた場合には12... Bg4と指して黒悪くない、という読みでした。

12. Re1 Bg4

 Dutch Defenseの黒番では、基本的にキングサイドで行動を起こすことを考えます。この局面では、白のf2やf3が弱点と見て、ラインピース(クイーン、ルーク、ビショップ)で圧力をかけるプランを選択しています。

プランに基づいた指し手はタクティクスの可能性を生みます。ここでは13... Bxf3 14. Bxf3 Bxd4 15. Qxd4 Rxf3のようにポーンアップするタクティクスの可能性があります(キングの安全性や、f3のルークがトラップされる可能性との兼ね合いで、成立するとは限りませんが。)

13. Bg5 e5 14. dxe5 Bxe5?

13... e5は若干危険ですが、この手を指さないとeポーンが恒久的な弱点になります。対局中は指しづらさを感じていて、13... e5は勝負手気味に指しました。

14... Bxe5は悪手。局後自分でこの局面を検討した時には、15. Qb3で白指しやすいだろうという分析をしました。Stockfishに聞いてみるとさらに良い手があると言われました。

15. c5! Bxf3 16. Bxf3 +-

 15. c5!に対して15... d5??や、15... Bxb2??とできないのがポイント。16手目まで進めば、白はオープンなポジションでダブルビショップを持ち、はっきり優勢です。

15. Rb1 Nd7 16. Qb3 Nc5!

ナイトの二段活用。この辺りは多少持ち直したかと思いましたが、次の手が好手です。

17. Qa3

3段目からクイーンを動かさず、アタックを受けない位置に動かし、かつ黒のaポーンをにらみます。さらに、17... Bxf3 18. Bxf3 Qf7!に対して19. Be3! Qxf3 20. Bxc5!を用意します。加えて白にはいくつかのタクティカルな狙いがあります。

Diagram after 17. Qa3

17... Bf6?! 18. Bf4 Rf7

18手目後の局面では19. Qxc5!がスレットになっているので、受けないといけません。18... Rf7はクイーンに紐を付けることで19. Qxc5とされてもピースダウンにならないようにしています。

局後の自分の検討では、18... Be7のほうが局面を落ち着けられると分析しました。19. Qxc5に19... Rxf4!を用意します。

19. b4 Ne6 20. Bh6

ここでルークがf7にいるためビショップの当たりから先に避けているというのもポイントです。そのためここでルークをよけずに、

20... Nd4

この手が指せます。明確な狙いは21... Nc2ですが、マイナーピースをさばけばヘビーピースでのfファイルからの圧力が強くなるという読みもあります。

21. Nxd4 Bxd4 22. Be3 Bxe3 23. Rxe3

 難解な局面から、単純な局面にシフトします。深い読みが必要とされる局面です。

23... a6?!

やや不正確。対局直後は23... Re7のほうがいいかと思いましたが、24. b5!から白ビショップが強力です。

24. h3! Bd7 25. Rbe1 Raf8

24. h3!が正確な一手で、この手を入れずに24. Rbe1 Raf8だと25. R3e2とできないため25. f3とせざるを得ず、黒に後々b6-g1のダイアゴナルを使ったカウンターの可能性を残します。

26. R3e2 Qc8!?

26... Qc8!?の意図は、白に27. h4か27. g4のどちらかを強要し、白マスビショップをほんの少しだけ使いにくくさせることです。

27. g4 Qc7

ポーン形を乱したことに満足して戻ります。24... Qd8のほうが若干よかったらしいですが、d6のポーンが浮くのが気になって指しきれませんでした。

28. Qg3 Bc8 29. Re8 Rxe8 30. Rxe8+ Rf8 31. Rxf8 Kxf8

ルークをさばいてfファイルのプレッシャーを消します。同色ビショップ+クイーンのエンドゲームですが、手番が白なのがかなり大きい局面です。加えて黒はクイーンサイドのポーンが白マスにいるのがかなり厳しく、安易にクイーン交換すると容易に負けのビショップエンディングになります。

Diagram After 31. Kxf8

32. Qf4+ Ke8 33. Qf6 Qe7 34. Qh8+ Kd7 35. Qc3 Kc7 36. a3

黒キングにとってc7が安住の地です。ポーンを守りつつ、クイーンからのチェックも受けづらい場所です。

36... Qf7?! 37. c5 Be6 38. Qg3 Qe7 39. Qf4 Kd7

36... Qf7?!では36... b6!のほうが黒にチャンスがあると局後に自分で分析しました。Stockfishと同意見でした。

40. cxd6 Qxd6 41. Qh6 Qe7 42. Qd2+ Qd6 43. Qh6= 1/2-1/2

最後はドローオファーを受けてドローです。