Neo Catalan Declined

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2018/11/10 4:54 |
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OTBの例会より、面白いゲームになったので紹介します。主導権の握り方等について、勉強になるゲームでした。

黒が私です。

1.Nf3 Nf6 2.g3 d5 3.Bg2 e6 4.O-O Be7

一時期、初手Nf3やc4に対して1... f5を試していたこともありましたが、最近は普通の形に戻しています。Dutch Defenseはかなり独特の感覚が必要で、指しこなすのが難しいと感じたためです。

5.c4 O-O

ここまでの形を、Neo Catalan Declinedといいます。Catalan Openingは、1. d4から始まってキングサイドにフィアンケットする形ですが、この形は白のdポーンがまだd2にいます。センターポーンが柔軟なのが利点と思います。

しばらく、CatalanにはOpen Variation(...dxc4を入れる形)で対抗していましたが、あまり勝率が良くないため、Closed Variationも調べてみようと思っています。

6.Nc3 a6 7.a4

この手を見て、大まかなプランを決めました。黒は、...d4!によりテンポを得ながらセンターポーンを伸ばすことで、King's Indian Defense、あるいはBenoniの白番のような形で指すことができます。その場合に、白のdポーンが弱点になるため、まずはdポーンを狙っていきます。

加えて、7. a4はb4の地点を若干弱めるため、b4の地点にピースを置くことで白のクイーンサイドを制限できると思いました。以下はそのプランの実現です。

7... d4 8.Nb1 c5 9.d3 Nc6

次に...e5とすれば、センターで完全に優勢になります。白の次の手はそれを防ぐ手です。

10.e3

ここは悩みました。10... e5か10... dxe3で、前者はセンターを抑えるプラン、後者はd3を狙っていくプランです。どちらもプランとしては当初考えていたプランと一貫性があるため、このような局面は好みがわかれるところでしょう。

10... dxe3?!

悪くはないですが、白のクイーンサイドがさばけるので一長一短と言ったところです。10... e5も、全く問題ない手です。

11.Bxe3 Nb4 12.d4

狙われているポーンを解消する手です。

12... cxd4 13.Nxd4!?

どの駒でd4を取り返されても、そこまで悪くないと読み、12手目を指しました。ちなみに、13. Qxd4は13... Nc2!から白のポーンがばらばらになります。

13... e5!

d4系のオープニングではこの手が指せれば、黒もまずまずと言われています。特にこの局面では黒がc8のビショップを出せるようになったことが大きく、黒が主導権を握れる局面でしょう。

14.Nf3 Qc7

e5のポーンを守りつつ、c4を睨みます。

15.Qe2

c4を守りつつe5を睨む手ですが、黒には継続手段があります。

15... Bf5!

白のフィアンケットビショップがアクティブではない隙を突いた手で、b4のナイトと合わせてd3、c2を押さえます。狙いはBd3(串刺し)とNc2(両取りからのビショップ・ナイト交換)です。

16.Rd1 Nc2

小さいポジションの利を重ねていきます。まずはナイトとビショップを交換し、ダブルビショップを主張できるようにします。

17.Ra2 Nxe3 18.Qxe3

さて、黒マスビショップが消えたので、f2が弱くなりました。f2を狙っていきます。

18... Ng4 19.Qc3

黒のピースはすばらしく配置されています。ここで継続手段があれば、黒が優勢を決められるところです。

19... Bc5?

f2を狙うという狙い自体は問題ないですが、白の応手を見落としています。正着は、白のバックランクの弱さを突いた19... Rad8!!で、20. Rxd8 Rxd8も20. Rf1も黒に完全に盤上を支配されます。

例えば、20. Rf1 e4 21. Nfd2 Rd3 22. Qc1(Qc1かQc2しか実質的に指せないです!)としてから22... Bc5とすれば、f2が相当受からない形です。

20.b4!

ルークの横効きで、f2が受かります。こういう形でビショップ+ナイトとルーク+ポーンを交換するのは、たいていビショップ+ナイトを捨てた側が不利になります。

20... Bd4?

悪手が悪手を呼びます。読み筋は21. Nxd4 exd4 22. Rxd4? Bxb1 -+と、21. Nxd4 exd4 22. Qxd4? Rad8 -+で、どちらも黒が良いためd4のポーンは取られないというものでしたが、読み落としがありました。

21.Nxd4 exd4 22.Rxd4!?

ここで、22. Qxd4(!) Rad8に対して23. Bd5!という手があり、白が良くなります。

22... Bxb1

これでピースアップのようですが、次の手を読んでおらず、焦りました。(実際には21手目で気づいて、23手目の手が見つかり、何とかなることがわかりました)

23.Rxg4

23... f5!

オンリームーブです。この手以外は白良し。これで黒はエクスチェンジアップになりますが、主導権は白が握ります。

24.Rb2 fxg4 25.Bd5+ Kh8 26.Rxb1

白はエクスチェンジダウンながら、b7、g4へのアタックとピースのポジションの良さにより、十分代償がある局面と思います。ただ、私としても、「相手が駒損だが主導権を握っている局面」を受け切るのはやぶさかではありません。

26... Rad8

まずは、d5のビショップ取りをスレットにします。

27.Qd4 Qd7

次に、クイーンの位置を改善します。

28.b5 Qf5

ディフェンスの際も、小刻みにスレットを作りながら指すことは重要です。

29.Rb2 Rfe8

Re1+をスレットにします。ちなみに、バックランクメイトがなければ、30...Re1+ 31.Kg2 Qf3+!! 32. Bxf3 gxf3+ 33. Kxf3 Rxd4という手が成立しますが、今は無理です。
30.bxa6 bxa6 31.Rb7

ルークが7段目に入り、危ないように見えますが、

31... Rd7

これで受かります。

32.Rb6 Qh5

ディフェンス側がメイトスレットを作ることで、心理的にプレッシャーをかけることができます。相手の心理状態を考えることも、対人戦においては重要な要素です。特に、アタッキングプレーヤーにとって、相手からの突然のメイトスレットは確実に思考を乱します。

33.h4 gxh3 34.Kh2

この辺りは必然の進行です。やはりf2が弱いままです。

34... Red8 35.Rxa6 h6?!

やや不正確。35... Rf8!からfポーンを狙う方が良かったです。

36.Qe4 Rf8

1手遅れましたがなんとか間に合っています。

37. f4 Re8 38.Ra8

一瞬怖い形ですが……

38... Rxa8! 39.Bxa8 Rd2+ 40.Kg1 Qd1+ 0-1

プランを性急に実行しないことの重要性、相手に主導権を渡したときのディフェンスなど、見直していて勉強になるゲームでした。