Ruy Lopez, Open, Karpov Gambit(1)

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2018/04/08 7:00 |
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お久しぶりです。たまに書く定跡解説記事。

 今回はRuy LopezのOpen Variation、そのなかでもKarpov Gambitと呼ばれる形を取り上げます。私は白黒どちらを持っても指す形です。

では第1回ということで、Karpov Gambitに至るまでの手順をさらいます。

1. e4 e5 2. Nf3 Nc6 3. Bb5

Ruy LopezやSpanish Gameと呼ばれる形です。非常に分岐が多く、しかもそれぞれの分岐が深く研究されていることで知られます。この後の手順でも分岐がある場合には書いていくので、適宜参考にしてください。

ちなみに3. Bc4はItalian Game、3. d4はScotch Gameです。2016年ごろのSuper GMの間では一時期Italianが大流行し、黒がAronianでなければItalianを指す白番のプレーヤーが非常に多い時期がありました。

 

3...a6

3... Nf6は有名なBerlin Defenseで、20世紀中ごろには指されなくなっていたものの、Kramnikが2000年代初頭に復活させたオープニングとして知られています。クイーンを早期に交換する定跡があり、黒から終盤勝負に持ち込めるとして人気もある、非常に手堅い定跡です。

3... d6はSteinitz Defenseで、これも手堅い手ですが近年のGMのゲームではほとんど見られません。もしかしたら誰かが復活させるかもしれませんが。

3... Bc5(Classical Defense)はセンターを重視する手で、これも近年のGMのゲームではほとんど見られません。ただ白は対応を間違えると悪くなりやすいので注意が必要。

 

4. Ba4

4. Bxc6はExchange Variationで、4... dxc6 5.O-O f6!(Grigoric Variation)等と続きます。5... f6!は序盤の常識に反するような手ですが、定跡化されています。白の白マスビショップがいないので、f7がそこまで弱くならないという判断です。Exchange VariationはFischerが一時期指していた手です。

 

4... Nf6

4... b5 5. Bb3 Na5!?(Taimanov Variation)はやりすぎ。白は6. O-Oから自然に指せば有利になります。6. Bxf7?はだめといわれていますが黒も正確に受けるのは難しいです。

 

5. O-O

5. Bxc6(Delayed Exchange Variation)、5. d3(Anderssen Variation)、5. Qe2(Wormald Attack)など、いろいろあります。どれもそれぞれの定跡があるので調べてください。

さて、やっとRuy Lopezの最も大きい分岐に到達しました。黒が、この後のゲーム展開を選ぶことになります。

1) 5... Be7(Closed Variation)

2) 5... Nxe4(Open Variation)

他にも5... b5とか5... d6(Deferred Steinitz Variation)とかありますが、基本的にはこのどちらかが主要な分岐とされています。

5... Be7は基本的にポジショナルで落ち着いたゲームになります(6. Re1 b5 7. Bb3 O-O 8.c3 d5!のMarshall Attackを除く)。白がキングサイド、黒がクイーンサイドにプレッシャーをかけるゲーム展開が多いです。

一方5... Nxe4はタクティカルなゲームになります。この記事で紹介するのはこちら。

  

 

 5... Nxe4 6. d4

白がやりたくなるがやってはいけない手は6. Re1?で、以下6... Nc5! 7. Bxc6 dxc6 8. Nxe5 Be6のようになり黒には全く危険がありません。

6... b5 7. Bb3 d5

6... exd4!? 7. Re1 d5 8. Nxd4 Bd6! 9. Nxc6 Bxh2! 10. Kh1! Qh4 11. Rxe4! dxe4 12. Qxd8! Qxd8 13. Nxd8 Kxd8 14. Kxh2のRiga Variationは一応押さえておく必要があります。

8. dxe5 Be6

ここでも分岐があります。

1) 9. c3

2) 9. Nbd2

3) 9. Qe2

4) 9. Be3

いろいろありますね。黒は一応すべての対策が必要です。

 

今回追っていくラインは9. Nbd2のラインです。

ちなみに9. c3だと9... Bc5 10. Nbd2 O-O 11. Bc2以下、f2にサクリファイスするような手順になります。Dilworth Attackといってなかなか激しい手順なので、調べてみてください。

 

9. Nbd2 Nc5

c3を突かないため、ビショップをc2に引くことができないため9... Nc5として黒だけダブルビショップを持つ狙いを作ります。

10. c3 d4

10. c3に対しては10... Be7と10... d4があります。どちらもよい手ですが、10... d4に対しては次の手があることをKarpovのチーム(Talといわれていますが、Zaitsevといっている人もいます)が発見しました。

11. Ng5!?

d2のナイトがいなければ普通の手ですが、この局面では11... Qxg5と取られてしまいます。Talらしいサクリファイスでしょうか。それとも成立しているのでしょうか。11... Qxg5の後の白の手をかんがえてみてください。

 

 Diagram After 11. Ng5!?

 この後の展開は次回。Polgar-Mamedyarov戦か、Kasparov-Anand戦の解説にしようと思っています。