The most memorable game in 2018

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2018/12/27 5:32 |
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今年も終わりが近づいてきました。

今年のチェス界も、振り返ってみるといろいろなことがありました。AlphaZeroのことや12局連続ドローの世界選手権、日本においてはチェス協会からチェス連盟への変化など、話題には事欠かない1年だったかと思います。

今年観戦していたゲームの中で、個人的に最も印象に残っている1局を紹介し、今年のしめくくりとしたいと思います。

AronianとMamedyarovが、オリンピアード第5ラウンドで、アルメニアとアゼルバイジャンを代表してトップボードで戦った1局です。

Aronian-Mamedyarov, Olympiad, Rd 5

1. e4!?

今年に入ってからAronianは、1. e4を試しています。なかなか結果が出ていないようにも見えますが、レパートリーを積極的に広げていこうとしているのかと思います。

1... e5 2. Nf3 Nc6 3. Bb5 a6 4. Ba4 Nf6 5. O-O Nxe4

Mamedyarovは現代でOpen Spanishを指す第一人者です。私も黒番ではOpen Spanishを指すので、Mamedyarovのゲームで勉強しています。

6. d4 Be7

メインラインは6... b5です。

7. Re1 b5

ここで、8. Bb3ならメインラインに近い形に戻りますが、Aronianはもっと過激な手を指しました。

8. Rxe4!?

この形はデータベースで調べるとかなり白が勝ちやすい形であるようです。

8... d5 9. Nxe5 Nxe5 10. Rxe5 bxa4

黒のクイーンサイドのポーン形がかなり悪く、ダブルビショップが代償になっているかは難しいところです。オープンなダイアゴナルが多いので黒に主張がない形であるとは思いませんが。

11. Qe1 f6

もちろん11. O-O?はできません。

12. Re3N

データベース上では新手です。

12... c5 13. Qd1 O-O

黒はアクティブなピース配置ですがポーンが弱く、白はポーンが手堅いですが展開で後れを取っています。

14. Nc3 Rb8 15. b3 cxd4 16. Qxd4 Bd6  17. Qxd5+ Kh8 18. Rd3 Qe8 19. Bb2 Be5

この辺り、白のポーン得がかなり大きく、コンピュータは白優勢と出します。しかしながら、ダブルビショップが強力で、人間同士だと黒もかなりやれるように見えます。AronianもMamrdyarovも、双方に主張がある局面は得意であるため、お互いの力が試される局面だと思います。

20. Nxa4 Rb5 21. Qf3 Bb7 22. Qe3 Be4 23. Rd2

本局のポイントとなる局面です。a4のナイトに働きがない今、黒は驚くべき手が可能です。

23... Bxg2!

白にc4を許すと黒はジリ貧とはいえ、思い切った手です。しかしながらこの手を境にAronianが少しずつ崩れてしまうのもまた事実です。

24. Kxg2 Qg6+ 25. Kf1

25. Kh1には25... Bxh2!が強烈です。取るとメイトなので取れませんが、白キングはいずれ危険な形になります。

25... Bxh2 26. Re1?

26. Nc5!が唯一の受けであったようです。26... Re8に27. Ne4!として、黒のバックランクの弱さを突いて受け切る手です。

26... Rg5!

これで白はキングをeファイルに逃がすしかなく、Re8からフォークが決まります。

27. Ke2 Re8 28. Kd1 Rg1

まさか、28... Rxe3??はないでしょう。

29. Be5 Bxe5 30. Rde2 h5

バックランクメイトを消して、黒良しです。2ポーンアップとキングサイドにプロテクテッドパスポーンができ、後はテクニックの問題でしょう。

31. Qd3 Qg2 32. Nb6 Rxe1+ 33. Rxe1 Qxf2 34. Nd5 Rd8 35. c4 Qxa2 36. Qf3 g6 37. Re3 Kg7 38. Qh3 Qf2 39. Rd3 Qg1+ 40. Kc2 Qh2+ 41. Qxh2 Bxh2 42. Rh3 Be5 43. Kd3 a5 44. Ke4 Kf7 45. Kf3 Rh8 46. Kg2 g5 47. Ne3 Ke6 48. Kf1 f5 0-1

ファイティングスピリットにあふれるゲームでした。