新潟

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2017/08/20 7:22 |
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新潟のチェス大会に参加してきました。大会の得点という意味では想定を上回る結果でしたが、ゲーム内容は自分の反省点が多いものでした。

 

その中でも、4Rの自戦記を、思考の道筋を保存しておくという意味で残しておきます。

 

[Event "Niigata"]

[Date "2017.08.19"]

[Round "4"]

[Result "0-1"]

[ECO "B92"]
[Opening "Sicilian: Najdorf, Opocensky variation"]

1.e4 c5

最終4Rを勝てば、もしかしたら入賞できるかもしれないという位置にいました(新潟の大会は5位まで入賞です)。その最終4Rは黒番。初手e4に対してシシリアンです。

この日はこの4Rでシシリアン3連戦(黒→白→黒)でした。

2.Nf3 d6 3.d4 cxd4 4.Nxd4 Nf6 5.Nc3 a6

 新潟の大会は45分切れ負けで、序盤に時間を使いすぎると終盤に時間が足りなくなります。そのため慣れた序盤を使おうと思っていました。Najdorf変化は黒番の中では最も慣れているオープニングです。特にBg5ライン(Poisoned Pawn変化)は前日ホテルで復習していました。

6. Be2

うっ。それはうろ覚えだ。

私はNajdorfの黒番では、基本的に白の6手目が何であれ6... e6とScheveningen Formationで戦うのに慣れているのですが、確か6. Be2に対しては6... e5が有力手だったはずで、そのラインを指すことにしています。ただ、6. Bg5と違って6. Be2は「すぐに黒つぶれる」という変化があまりないと認識しているため、準備が後回しになってしまっていました。

 何はともあれ、

6... e5

Najdorf, Opocensky (Opovcenskyと書いてあるサイトもあるのですがどちらが正しいのでしょう?)変化に突入します。

7. Nb3 Be6 8. O-O Be7 9. f4

ちゃんと序盤を調べておけばよかったと後悔しながらこの辺り指していました。My 60 Memorable Gamesにも、うろ覚えで序盤を指すと危険だ、と書いてありましたね(Unzicker-Fischer 1962, 偶然にもその局はNajdorfの6. Be2 e5 7. Nb3 Be6 8. O-Oの変化です。)

さて、7... Be6は筋が通っていますが危険です。黒としては、e5を突くNajdorfらしく、黒からのd5突きを準備したいのですが、ビショップがe6にいると白からf4-f5でアタックされます。

f5を突かれた際にBc4と逃げたいので、次の手は9... Qc7が正解です。ただ指しているときには知らないので、

9... Qb6+? 10. Kh1 Nc6 11. f5

このように指してしまいました。

これだと黒からBc4が効かないので、勢い

11... Bxb3 12. axb3

と指すしかないですが、これでd5を黒から突くのが相当難しくなりました。局後の感想戦では、この局面は白良しで一致しました。

 さて、もう粘ることを考えています。12... O-Oは13. g4で相当危険。黒から反撃があるとすれば、ビショップの効きがなくなったところでNg4と跳ねるくらいしかないと読んでいました。ただ直近の手としてはBg5が怖いので、いったん

12... h6

と指しました。

13. Rf3

感想戦ではこの手があまり良くなかったか?とのことでした(ただし、局後コンピュータで解析してみたところRf3が最善とのことでした)。黒から次の反撃があります。

13... Ng4 14. Nd5 Qc5?

13... Ng4は待望の一手。Nf2+を狙っています。対して14. Nd5が好反撃で、黒クイーンを好位置b6からずらします。対して14... Qc5?はあまりよくないようで、白はNc7+からNxa8, Qe1とすればエクスチェンジアップで戦えるようです。

15. c3 Bg5

しかし15. c3もb4-b5を狙っていて対処しづらい形です。ここで黒はNf2+も考えましたが、Rxf2からQxf2の形がいかにもBe3から黒クイーンがトラップされそうで諦めました。その代わり、Bg5とすることでBe3を防ぐことに集中しました。

16. b4 Nf2+

ついに指せましたが、黒が良くなるわけではありません。いずれNc7+からエクスチェンジを取り戻されますし、本譜のようにb5を突かれても苦しい。

対局中は17. Kg1 Nh3+(ダブルチェックなのでクイーンがとられない) 18. Kf1??とされた時の対処が見つからずどうしようと考えていました。今冷静に見たら18... Qg1#ですね。

17. Rxf2 Qxf2 18. b5!

18. b5!がとにかくきつい手です。おそらく正着は18... Ne7ですが、エクスチェンジを取り戻され、bxa6の後にaポーンがいつか落ちて終盤のbポーンが強すぎて負けそうです。

18... Bxc1!?

とにかく盤面を動的不均衡の状態に持っていこうとした手。19. Qxc1?でも19. Rxc1?でも黒は喫緊の課題を除けます。ただもちろん、

19. bxc6! bxc6 20. Nc7+

これがあります。黒がどうしようもなさそうですが、なんとかしようと思って今後の展開をいろいろと考えました。対局中の結論としては、

  • 白ルークがクイーンサイドから侵入してくるのは防げない。
  • その時にキングがf-g列に逃げ出す形を作らないといけない。

ことから、キングの逃げ場所は

20... Ke7

しかないと思いました。結果的に、本譜の進行はKd7かKe7で大違いな局面になり、この手が活きました。

21. Nxa8

さて、ここも展開を考えました。確かに21... Bxb2とすればポーンを取り戻せますが、22. Rb1 any 23. Rb7+がシンプルにきつそうです。かといって21... Rxa8 22. Rxc1は局面がシンプルになりすぎてずるずる負けそう。そこで、

21... Bf4!?

ひねり出した手です。とれるポーンを取らず、ナイトも取り返さずにただビショップを引く手。黒が主張できる点があるとすれば、

  • 色違いのビショップを残すことで白が仮に黒マスに弱点を作った場合に攻撃できること、
  • Kh1としているためバックランクが若干弱いこと、
  • それを利用してバックランクメイトあるいはパーペチュアルチェックの筋があること

だと認識していました。

22. Rxa6 Qh4

1手メイトの形を作ります。とにかく白キングに嫌味をつけていくことだけを狙っています。

さて、この局面ですが、23. g3はBxg3で無効ですし、23. h3は23... Qg3から24. Qg1 Be3でThreefoldになります(白が駒得していて、手を変える権利が黒にあるため)。なので、

23. Qg1

となりましたが、この次の手が本局で最も気に入っている手です。

23... Bxh2

対局中この手を見つけて指したときに取ったポーンを興奮して落としました。ピノーさんがちょうど見にいらっしゃったタイミングだったのでちょっと恥ずかしかったです。

ポイントは24. Qxh2なら24... Qe1+から25. Qh2 Qh4+で、ドローを拒否する25. Bf1? Qxf1 26. Qg1には26... Qxa6で今度は白がエクスチェンジダウンになります。

また24. Qa7+?なら24... Kf6!でチェックが続きません。

本譜は、

24. Ra7+ Kf6と続きました。

20... Kd7であればこのKf6は不可能であったため、20... Ke7が活きる展開になりました。

 さて、24. Ra7+を入れたことでビショップを捨て返してドローを蹴る手が成立するので、

25. Qxh2 Qe1+ 26. Bf1 Qxf1+ 27. Qg1 Qf4? 28. Qe1!

として白はドローを断ります(もちろん黒からドローオファーしているわけではないですが、Bxh2の手の趣旨としては「Qe1+に対してQg1と守ってドローにしますか、それともほかの手を指しますか」と訊いているに等しいと思います)。ちなみに黒の27手目はQe2とすればe4ポーンが落ちます。見落としです。

さて、ここで黒の方針を考えます。

  • hポーンをh3まで安全に伸ばせれば、白のgポーン突きのディフェンスに対してQf3+が成立してメイトがある。
  • 白クイーンがf1のディフェンスから離れればQe1+があり、最低でもドローにはなりそう。
  • 白クイーンがe4のディフェンスから離れればQxe4があり、2ポーン対ナイトの終盤になりそう。センターのポーンがパスポーンになるので十分黒にもチャンスはあるはず。
  • 上のことを総合すれば白クイーンがe1から離れるのは相当リスキー。白はナイトとルークで反撃の形を作るだろう。
  • しかし、白ナイトは盤端にいて戦線復帰に時間がかかる。
  • また、白ルークはナイトのディフェンスのため現状aファイルを離れられない。
  • そのため、白が反撃の形を作るためには「ナイトをaファイルから動かす→ルークを動かす」で、最低2手かかる。
  • 今手番は黒なので、白が反撃の形を作るまでに2手余裕がある。そのためhポーンはh4までは安全に突ける。さらに、白が反撃の形を作ったときにh3を突いて白からなにもなければOK。
  • 2手で作れる白のポジションを考えてもそんなに危なくなさそうなので(若干適当な読みでした)hポーンを突く手が相当強い。

という方針でhポーンを突くことにしました。

28... h5 29. Nb6 h4 30. Rd7

30. Rd7の次に31. Rxd6+があるので、ここでh3を突けるかどうかがポイントになります。

ちょっと読むと、30... h3 31. Rxd6 Kg5 32. Qd2があってダメ。やっぱりだめかと思っていた時にある言葉を思い出しました。

「読んだ深さよりもさらに1手深く読むこと」

冷静に32. Qd2の局面を考えました。そこで、

32... hxg2+!!

33. Kxg2 Rh2+ 34. any Rxd2 -+

33. Kg1 Rh1+ 34. Kxg2 Rh2+ 35. any Rxd2 -+

という変化で黒勝ちを読み、32. Qd2ができないことを読んで、

30... h3

を突きました。

31. Rxd6+ Kg5 32. Rd3 hxg2+ 33. Kxg2

となり、以下の局面です。

ここで黒には2つの手段、33... Qh2+と33... Rh2+があります。どちらかが正着、どちらかが大ブランダーです。どちらがいいかはある程度32... hxg2+のときに読んでいましたが、ここでもう一度しっかりと読みを入れて、

33... Qh2+

を指しました。ちなみに33... Rh2+?? は34. Kg1!!でメイトスレットが一切なくなり、白からQg3+として強制的にクイーンを交換する手も生まれるので白のピースアップだけが残ります。この局面、Rh2+のほうが自然に見えるので指したくなりますが、正しくはQh2+でした。

34. Kf1 Qh1+ 35. Ke2 Qxe4+ 36. Re3 Qc2+(36... Rh2+ and Mate in 4) 37. Kf3 Rh3+(37... e4+ 38. Rxe4を入れて本譜の順であれば白ルークが落ちるのでより強い) 38. Qg3+ Rxg3+ 39. Kxg3 Qxb2 40. Ne4 Qb8 0-1

最後はなんとか駒得に持ち込んだ局面でしたが、相手の方の時間が落ちてしまいました。

 

反省点として、序盤のいいかげんさが露呈してしまいました。

 この対局の結果を受けて、最終結果で5位に入賞できました。

新潟は食べ物もおいしく、大会翌日に観光した水族館も大変楽しく(生まれて初めてイルカショーを見ました)、大会スタッフの皆様にも本当に暖かくしていただけたのでまた来年も参加したいと強く感じられました。対局してくださった皆様、運営の皆様、本当にありがとうございました。