ジャパンオープン2017

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2017/11/06 6:02 |
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ジャパンオープン3日コースに参加してきました。結果は2.5/6.0(W: 1, D: 1, L: 2, Bye: 2)とあまり振るいませんでしたが、強い方と何局もさせたことで勉強になりました。

 

特に自分の弱点と感じたのは次のことです。

  • 有利なポジションをキングへのアタックに変換する際に、性急にアタックを開始すること。

逆に自分の強みとして感じたのは次のことです。

  • 研究済みの序盤から中盤にかけて、自分の有利になる形で駒交換をしながらポジションの優位を拡大していくこと。

次に大きな大会に出るのは百傑戦の予定ですが、それまでに強みを伸ばし、弱みをつぶしていきたいと思っています。

 

せっかくなので自戦記を。5R、私は白番です。ここを勝てばBクラスでの入賞が見えてくるとあって、意気込んでいました。

 

[Event "Japan Open 2017"]

[Site "Ikegami Kaikan, Tokyo, JPN"]

[Date "2017.11.5"]

[Round "5"]

[Result "0-1"]

[Opening "Alekhine's Defence"]

[ECO "B02"]

[Time "90+30"]

 

1. e4 Nf6!?

Alekhine's Defenceです。この「!?」は手の評価というよりも序盤チョイスに対する驚きです。というのも前日夜にペアリングが出た時からフレンチの準備をしてきていたので、Alekhineに驚きました。

2. e5 Nd5

早速3手目で長考します。というのも試してみたいラインがあったためです。ジャパンオープン5Rという、あまりに大舞台で実戦初投入するそのラインは......

3. c4 Nb6 4. a4!?!?

アメリカのIMの名前を取ってEmory Tate Variationという名前がついているオープニングです。ちなみにこの手の狙いとして、本譜のようにd6を黒が突いた場合に5. a5から6. e6としてfファイルを開けてタクティカルなポジションにする狙いと、4... a5に対して5. Ra3!?とクイーンサイドのルークを使う狙いがあります。

4... d6 5. a5 N6d7

N6d7というめったに見ない符号が出てきました。

6. e6 fxe6 7. d4 Nf6

7手目まで、白はポーンしか動かしておらず、黒は同じナイトを5回動かしています。こういう局面のことを、「タラッシュ博士が激怒する局面」と呼びます。

冗談はともかく、この局面をちゃんと評価してみます。

まず、マテリアルは白の1ポーンダウンです。しかし、黒はfファイルが開き、Qh5+等を常に警戒しなければいけません。実質白にポーンを投資した代償が求められるので白がややつらい局面だとは思いますが、とりあえず乱戦に持ち込みたかったので私はこの進行で満足しています。

8. Bd3 e5 9. dxe5 dxe5

黒はeポーンを突いて局面を開きますが、センターに孤立ダブルポーンができました。白のプランとしては孤立ダブルポーンにプレッシャーをかけていくプランが考えられるところです。

10. Nc3 Bg4

Nf3やNge2を早めに指してしまうと、AlekhineらしいBg4でピンされるのが嫌なので保留していましたが、先に指されてしまいました。

11. Qa4+? Nc6! 12. Qc2

11. Qa4+に対しては11... Bd7等を想定しており、一度引かせてからQc2とすればいいと思っていましたが、11... Nc6!がありました。こうなると展開を助けただけになるのでQa4+はどうだったか、と局後の検討での指摘がありました。

12... e6 13. f3 Nb4!

12... e6は、ナイトがb4に飛んだ時にビショップでひもを付ける意味。この手を挟まずに単にNb4は、Qa4+!とされてNc6に戻らざるを得なくなります。

14. Bg6+ hxg6 15. Qxg6+ Ke7 16. fxg4

このあたり、どう応じても味が悪いようです。局面ははっきり黒良し。

16... Nd3+ 17. Ke2

ここからの数手のキングの動き方は、悪いながらも最善を尽くせたようです。まず、17. Ke2は次に18. Qxd3を見せることで黒の手を限定します。白のほかの手はすぐ負けてしまいます。

なおここで17... Nf4+?は白の注文通りで、18. Bxf4! exf4 19. g5!で白良し。

17... Nxc1+ 18.Rxc1 Qd4

c4とg4のポーン取りを狙いにします。

19. Nf3 Qxc4+ 20. Ke1 Qf4 21. Ne2

Ne2があるため、局後の検討ではQf4がどうだったかということでした。キングは安直にf2に上がらないのが大事です。

21... Qb4+ 22. Kf1 Qxa5?!

これで、黒は2ポーンアップになり、白のbポーンもいずれ落ちそうです。それではこの局面は黒がいいのかということになりますが、

23. Ng5!

この手があるため白良しです。この手以外は白良くはなりません。

Position after 23. Ng5!

白の狙いはシンプルにQf7+ですが、黒にはf7の地点を守る満足な方法がありません。加えてe6のポーンも落ちそうです。

ただしThe hardest thing in chess is to win a won game. (F. Marshall)という言葉もあり、油断がならないのがチェスです。

23... Re8 24. Qf7+??

クイーンでのチェックはいつでも入るため、今急いで指す理由は全くありません。それよりも24. Rd1!!と指せば黒にはチェックメイトを防ぐ方法がクイーンを捨てる24... Qd5しかなく、その後25. Qf7+ Ke6 26. Ne4+! Nxe4 27. Rxd5+ exd5 28. Qxe8のようになって白かなり良いです。

24. Rd1!!が見えなかった理由としては、

  • 24. Qf7+ Kd8には25. Nxe6+からエクスチェンジアップで白有利と見ていた。
  • 24. Qf7+ Kd6?に対する勝ち筋が見えていた。
  • ルークはc7のポーンを見据えているべきだと考えていた。

という理由があり、端的に言うと候補手を挙げ切れていなかったこと、権利となっている手を性急に指してしまったことが原因です。24. Qf7+??は勝ちのポジションを負けのポジションにする大悪手です。

24... Kd8! 25. Nxe6+? Rxe6 26. Qxe6 Bd6!

こうなってしまうともうだめです。

27. Rd1!? Ne4!

27. Rd1!?はRxd6+からQxd6+として、エクスチェンジを返して終盤で何とかしようという手ですが、27... Ne4!があまりにぴったりです。オープンfファイルをルークに使われるので白かなり悪いです。

28. Qd5 Rf8+ 29. Kg1 Qb6+ 30. Nd4 exd4 31. Qxd4 Qxd4 32. Rxd4 Kc8!

Position after 32... Kc8!

これでもう白に希望はありません。あとは棋譜だけで。

33. Rxd6 cxd6 34. h3 Nf2 35. Rh2 Ne4 36. h4 Ng3 37. Rh3 Ne2+ 38. Kh2 Rf4 39. Re3 Nd4 40. Kg3 Rf7 41. Re4 Nc6 42. h5 d5 43. Re1 d4 44. g5 Kd7 45. Re4 Ke6 46. b4 d3 47. Re1 Nxb4 48. Kg4 Nd5 49. g3 d2 50. Rd1 Nd3+ 0-1

 

24. Rd1は見えていなければいけない手でした。少なくとも読む候補にさえ挙がっていなかったのは反省すべき点です。このままいけば次の更新でレーティング1700前後になるでしょうが、1700相当の力はまだないので精進を続けるのみです。