ねっとり解説 クイーンズ・ギャンビット7

ねっとり解説 クイーンズ・ギャンビット7

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※重大なネタバレとアレな内容を含みますので
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https://www.chess.com/article/view/queens-gambit-every-chess-position#episode-6
様から棋譜引用させてもらってます。

[00:00] エンドゲーム
そのまんま終盤ですね。
あとベニーワッツによってエンドゲームを鍛えたという意味もあると思います。
カルポフ―カスパロフ戦において、カスパは二回目のKKマッチで世界王者を勝ち取りました。
その時エンドゲームの質的な理解を深めて望んだという話を聞きます。
最強同士の戦いで雌雄を決するのは終盤力ということでしょう。

[01:00] アリス
そういやお母さんの名前がアリスなのですが、鏡の国のアリスからでしょうか?

[06:47] MCO登場


シャイベルさんからもらったMCOというのは特別なものですね。

[10:48] シャイベルは孤独だった
牧師さんは勘違いしてますが、そんなことはありません。
彼の心にはチェスとベスがいました。

[11:00] 10ドル返してない。
こういうのやっちゃうとずっと気まずいですよね。

[11:09] 高い勤労意欲
これも疑問ですね。
地下室で一人チェスやってて、ガンツさんを呼んでベスの指導を頼んだりしてますし。
シャイベルを理解してるのは自分だけだ、ベスはそう思ったでしょう。

[15:15] ベスに関する切り抜き記事
実にいいシーンですね。二回目を見ても泣きました。
あのとき取ったぎこちない二人の写真もあってエモさ爆発です。
彼女にとってシャイベルは父のようなものだったのかもしれません。
義父や産みの父とはほとんど交流がありませんし。
チェス、そして礼儀作法、人生における考え方も教えてくれた父親の死は悲しいものですね。
若くしてベスは両親を失ったようなものですが、彼女には支えてくれる友人がいるぞという前向きなお話ですね。

[17:15] 教会からの要求をつっぱねる
昔、孤児院の授業から抜け出しチェスを指していたころの情熱を思い出したのか、勢いよく突っぱねます。
一般的に見て正しい行動だったのかはわかりませんが、シャイベルさんの死で自分の身の立ち回りを考え始めたのかと思います。

[22:40] my guardian angel
二人とも教えをテキトーに聞いてた不良組のような振舞でしたので、皮肉というやつですね。

[24:55] ロシアはおそろしあ
ロシアの怖さをベスに教えて、酒を飲まないように指示します。
意味深に"サイン"といってますが、フィッシャーがロシア人と戦った際に対局者以外の人から手の指示を受けていると糾弾した件を意識してるのかな?
それともKGBによる暗殺からの教訓か。
むっちゃ脅されますが、ロシアに着いたら暖かく歓迎され最強のチェスウーマンとして丁重な待遇を受けます。


[30:00] 棋譜集 





[30:49] ファンにサインをあげる
おそらくUSではこういうことはなかったのでしょう。USSRのチェス熱を感じるシーンです。
女性も多いことに注目。さすがのお国柄。

[32:05] 路上チェス
寒い中分厚い外套を着込みチェスをする老人たち。日本にも欲しいですね、こういう風景。

[33:05] ファンたちに囲まれる
この後も何度も囲まれますが、心配していたような事態はなく単なるチェスファンのようです。
チェスを愛すものとしてみんな仲良くやっていきたいですね。

[33:07] ベスは疲れたはず
そう、長期マッチになるとこれが問題になってきます。仲間内では早期合意ドローのような風景は珍しくありません。
お互いに研究を披露しあってる仲ですと、気まずいし戦型が選びにくいってのもあるでしょうしな。

[33:10] 投了もせず席を立つ

かなり無礼な態度ですね。現実でもこういう振舞をした人はいます。
カスパロフーラジャボフ戦において、カスパロフは投了をせず席を立ってそのまま時間切れまで放置します。
当時カスパロフは7年間白番で負けてなかったのに、15歳の少年のフレンチディフェンスに負けてしまったのが相当来たのでしょう。
しかも黒の悪手を咎めきれないばっかりに、その手が好手に変貌してしまったという試合でした。

[36:07] ルチェンコとの対戦




[37:40] adjourn後の検討
ロシアが強い理由ですね。最強の布陣で検討をしてくれるのですごく強いです。
チェスは時にチーム戦とも形容されます。

[40:15] ベス勝利
チェスでは40歳以上年齢が違っても同じ戦場で戦えます。
ずっと本のなかでしか見てなかった憧れの人と対峙して倒すのは至福の喜びですね。
相手からすれば悪夢なのか、未来ある若者が育って嬉しいのか人によりけりでしょう。

[42:08] 疲れ
コメンテーターは疲れという単語を連呼し、ベスも欠伸を連発です。
adjourn後に自力で検討しているため休む暇が無いのでしょう。自分の代わりに検討陣がいたらってとこですね。

[43:25] 薬を捨てる
これで酒もやめて、薬をやめた形になりました。
禁酒に成功したアレヒンは世界王者を取り戻すことに成功しますが、ベスの場合ははてさて。


[44:20] ボルゴフとの対戦
これはQGAです。タイトル回収ということですね。

[47:00] adjourn宣言
お前の最後の手は甘かった、私たちはこれからロシア連合軍で殺しにかかるぞという宣言でしょうか。

[48:02] アメリカに生まれて最高だと言え
冷戦の最中ですからね。代理戦争みたいなものが起きていたことは容易に想像できます。
代理戦争というわりにベスに大きな支援を送ってくれたわけではないですがw

[48:25] William Shaibel
私が見逃してたら申しわけないですが、フルネームは初でしょうか?おそらくウィルヘイム・シュタイニッツが元ネタ。
Wilhelm Steinitzは移住後にWilliamという名前を使っています。
”ポジショナルチェス”というチェス界に、正しいチェスの道を示した人間です。
私の勝手な想像ですが、ロシアの報道陣は彼の名前を雑誌に書いてくれたのだと思ってます。
どんなに強くなってもベスはシャイベルさんのことについて語りたがりますね。
ベルティックもベニーワッツはよりハイレベルなことを教えてくれたというのに。
最初にチェスを教えてくれた人というのは特別な人ということでしょう。


[51:05] 一人でチェス駒並べ
好きなシーンです。多分安い折り畳み式のチェスセットです。
ちょっと高いやつはこの写真のように駒をそれぞれに収めるスペースが作られているんですよね。
(さらに高い奴は折り畳み式じゃなかったり、駒を別に収める箱がついてきたりする。)



一流のホテルで、高い賞金がかかった中、世界最高峰のプレイヤー同士のチェスも
寒い公園で、老後の暇つぶしのような、下手の横好き同士のチェスも同じもの。
チェスはチェスだといわんばかりのシーンです。非常によい。

[52:30] 検討陣からのメッセージ
嬉しい展開ですね。チェスはチーム戦だというのにアメリカはずっと一人で戦っていた。
だからこそ20年間ロシアに負け続けてきた。
だがベスを中心に、アメリカ最高のメンバーが集まった。
ロシアに勝つ時は今だといわんばかりの状況です。

[56:00] 天井でのチェスボード
対局中に天井を見上げるプレイヤーはいます。たとえばIvnchuckは天井をみているそうですし、
ヒカルも計算中にPC画面から目を外していることがありますね。

[59:45] ベスの勝利



すごく不穏なラスボスという感じのボルゴフですが、同じくチェスを愛するものでしたね。
最後は抱き合ってお互いの健闘を称えます。個人的にボルゴフに二敗一勝というスコアは気に入ってます。
ベスは才能もあるし、死ぬほど努力をしている人なのはわかっています。
ですが、彼女と同様に熱を入れて打ち込んでる人も山ほどいるのです。
その中で彼女だけが絶対的な強さを持っているというのは考えにくいので、リアリティある数字だと思います。

[63:00] 路上チェス


憎い演出ですね。私はこれを見てミハイル・タリを思い出しました。
タリはプロになってからも普通の人との野良チェスみたいなものを楽しんだそうな。
あと彼らがロシア語で喋っているのもいいですね。
ベスはロシア語を話せるので問題はありませんが、彼女がロシア語をわからなくても問題はないでしょう。
だって共通言語であるチェスがあるから。