第26回 ジャパンリーグ
こんにちは、skramchiです。
今回は第26回ジャパンリーグを振り返って記事を書いていこうと思います。
大会は8月11日から14日までの4日間、計7ラウンドで行われました。また大会後にはGMとの同時対局も行われました。
初日の11日の9時40分に開会式。10時から第1ラウンド開始だったのでこの調子で行くと第1ラウンドに5分程の遅刻ですが、始発の新幹線に乗り、その後最速の乗り換えで来ているのでこれ以上は早く来れなかったのです。
と、ここで知人に「ピオ(大田区産業プラザPIO)じゃないよ」と言われ、
そうなんですね。大会は大田区産業プラザPIOと大田区民センターの2つの会場で行われるのですが、大田区産業プラザPIOに行くときは京急蒲田駅で、大田区民センターに行くときはJR蒲田駅で降りなければいけないんです。ややこしいですね。
しかし私はそのことを知っていたので事前に入念に調べていました。ツイートの方が間違いで、ちゃんと正解の電車に乗っていたわけです。いえ、乗っていたはずでした。
……事件は唐突に起こります。
持ち時間:90分累加30秒、40手後追加30分
第1ラウンド 白 Grünfeld Defence 負け
第2ラウンド 黒 Queen's pawn game 勝ち
第3ラウンド 白 Modern defence 勝ち
第4ラウンド 黒 Reti opening 負け
第5ラウンド 白 Queen's Gambit Declined 負け
第6ラウンド 黒 Nimzo-Indian Defence 勝ち
第7ラウンド 黒 English Opening 負け
GM同時対局 白 Queen's Gambit Declined 負け
3勝4敗 3.0/7.0p 47人中28位
残念ながら負け越してしまいました。特に最終7ラウンドでは完全に優勢なところからの酷いブランダーで逆転を許し、Aクラス(レート1864以下)での優勝を逃してしまいました。
※Aクラスの最高得点は3.5pでした。
しかし今回の対戦相手はレート上が5人、レート下が2人と、強敵ぞろいで、全てのゲームを通してとても勉強になりました。またGMとの同時対局という珍しい経験も出来て良かったです。
今回は第3ラウンドから、白番。
1.d4 g6 2.c4 Bg7 3.Nf3 d6 4.Nc3 c5?! 5.e4
A40 Modern defence
1.d4 g6は初見でしたが、別に突飛な手と言うわけでもありません。自然な手を指しつつ、なるべく自分が理解しやすい局面を求めます。2.e4とはせずに2.c4。
4...c5?! は対局後に聞いたところ、5.d5 f5!と、dポーンを突きこした時にダッチ・レニングラードのような戦型を目指すための手だったようです。
対局時には気づきませんでしたが、この手に対して白は5.dxc5! として黒にキャスリング権を放棄させ、若干優勢なクイーンレスのミドルゲームにすることが出来たようです。ただし対局中にこの手に気づいたとしても、優勢を活かせる自信がないので指すことは出来なかったと思います。
代わりに指したのは5.e4。
シシリアン・アクセラレーティッド・ドラゴンのマローツィバインド型を目指します。
私は1.e4のオープニングが全く出来ないわけではないのですが、こういう大会で武器に出来るようなレベルではありません。シシリアンについても完全に門外漢なのですが、マローツィバインド型は稀にKIDなどで黒からのc5を放置してcxd4とポーンを取られるとトランスポーズすることがあります。
マローツィバインドは白マスにポーンが並ぶので白マスビショップがバッドビショップになりやすいという欠点がありますが、割とクローズドな局面になるので個人的には比較的指しやすいです。黒は白マスのバッドビショップ対ナイトのエンドゲームを目指して指すことになります。
5...cxd4 6.Nxd4 Nc6 7.Nc2!? Nf6
7.Nc2!? はいずれb4と突いてクイーンサイドで仕掛けるための一手です。しかし黒は7...Bxc3+! とすることで白の作戦を瓦解させることができます。bファイルからポーンを失うのでナイトを退いた手が手損になり、黒にとってハーフオープンファイルであるcファイルにダブルポーンを持つことになります。黒はドラゴンビショップを失いますが十分に戦えるでしょう。
8.Be2 Bd7
8...Bd7自然な手のように見えますが、d7マスはキングサイドのナイトを退いてドラゴンビショップの斜線を開くために開けておきたいマスです。Nf6-Nd7-Nc5などとマヌーバリングします。
9.Be3 Rc8 10.f3 O-O 11.O-O b6
11...b6は恐らくNa5と指してc4ポーンにアタックするときに、a7ポーンを守る手だと思います。取り立てて悪い手と言うわけではありませんが、クイーンのためのa5-d8ダイアゴナルを塞ぎますし、なりよりc6がホールになります。ポーンが落ちることに構わずに11.Na5として攻勢をかけるか、11.Ne8や11.Be6など、他のピースの再配置をした方が良かったと思います。
12.Qd2 Na5 13.Na3
13.Na3としてc4を守っていますが、ここでは単に13.b3! とすることができました。ドラゴンビショップが睨んでいるのでbポーンを突くのは怖いですが、ここでは事前に10.f3としてe4ポーンを守っているので、わざわざナイトを端に持っていかなくても良かったです。
キャスリングを遅らせて10.f3を指しているというのに、前後の手の目的が若干噛み合っていません。
13...Qc7
c4に対してさらに圧力を加える一手。しかしこのクイーンはいずれまた動かさなければいけなくなります。この辺りで少し白が指しやすくなってきました。
14.Rac1 Be6 15.Nd5 Qd7 16.Rfd1 Ne8 17.Nb5
17.Nb5としてc4を守る必要のなくなったナイトを中央に戻しに行きます。しかしここで白は17.b4! とすることができました。
(1) 17...Nb7
クイーンのa7ポーンに対する紐がなくなるので、ここで18.Nb5とすると黒がa7ポーンを守るためにテンポを稼ぐことができます。
(2) 17...Nc6
18.c5! が強力で、16...Ne8としてd5マスとd7マスへの利きを失っているために、白のハーフオープン-dファイルでの攻撃力が増しており、さらにはバッドビショップだった白マスビショップも活性化されます。
17...f5 18.Nd4
最善手は18.Bxb6! axb6 19.Nxb6 Qd8 20.Nxc8。しかし黒マスビショップを失うので黒マスが非情に弱くなり、さらに黒の20手目が複数予想されるので難解です。
(1) 20...fxe4 21.Nca7 exf3 22.Bxf3 Nxc4
エクスチェンジアップですが2体のナイトが連結している悪形で敵陣に取り残されています。
(2) 20...Nc6 21.exf5 Rxf5 22.Nxe7+ Nxe7
(3) 20...Qxc8 21.Qxa5 Bxb2 22.Rc2 Qc5+ 23.Kh1 Be5
など。
結局20手目の黒の手が分からず、想定できる全ての手に備えてそれ以降の手順を読む、なんてことも出来そうになかったので18.Bxb6! とすることは出来ませんでした。
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ここまで閲覧して頂きありがとうございました。
これで今年の大会の記譜解説は終わりになります。来年は全日本選手権には出ない(予選も)つもりなのでOTB活動は寂しい感じですが、その分こちらでLive chessで対局したゲームの記譜解説やエンドゲームの解説などの記事を挙げていければと思います。
それでは皆さん良いお年を