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自戦記解説-part1

skramchi
2016/06/10 1:50 1
 こんにちは、skramchiです。今回は自戦記解説ですが、その前にまずタクティクスを一問。
 
 図は黒の0...g6に対して、白が1.Bf4と攻勢に出たところ。黒先黒勝ち。
 
 
 
 解けましたか? この手順は今回解説する記譜の検討中に発見しました。去年の暮れに行ったモノポールさんとの対戦。Time-Controlは30min。Queen's Gambit Accepted になり、互いのキングが危険な激しい一局となりました。結果は白のモノポールさんの勝ちでした。
 
 
 それでは詳しく解説していきます。
1.d4 d5 2.Nf3
 先にe5マスをコントロールすることで難解な局面になりやすいAlbin counter-gambitを避けます。激しい戦いが好みなら当然2.c4。
 2...Nf6 3.c4 dxc4
 
 
 4.a4?!
 黒の4...b5を防ぎます。しかし黒がこのc4ポーンを守るのは非常に難しいため、不必要な一手。展開手である4.e3などの方が余程優れています。
4...c5 5.e3 Bg4
 白の4.a4?!を咎める一手。今後e6とポーンを突いて白マスビショップがa4-e8ダイアゴナルから締め出されても、白はQa4として圧力を加えることが出来ません。
 
 
 6.Bxc4 e6 7.h3 Bh5 8.Qb3
 白はダブルポーンを気にせずピンを解除して強気に出ます。
 8...Bxf3 9.gxf3 Nbd7 10.Rg1
 さらに白はショートキャスリングの権利を捨て、空いたgファイルにルークを展開します。

 
10...Qc7
 白の10.Rg1を見て、b7マスをケアしつつ、h2マスへの侵入を狙っています。
11.Nc3 a6 12.d5 exd5?!
 最善手は12...Ne5。白マスビショップに攻撃を当てながらf3マスでのフォークを狙います。12...exd5との2択で迷いましたが、14.exf7+が考えられるために自信を持てませんでした。
13.Bxd5?!
 白は13.Nxd5とするべき。2ビショップの権利を失います。 
13...Nxd5 14.Nxd5 Qh2
 
 
15.Rg4?!
 14...Qh2は非常に力強い展開に見えますが黒のクイーンはb8-h2ダイアゴナルを守らなければなりません。よって白は15.Ke2!とすることができます。
15...O-O-O
 見た目ほど脅威はありません。d5に居座るナイトは強力ですが、白が今すぐ黒のキングに対して仕掛けられる 戦力はナイトとクイーンのみです。そしてナイトが移動可能な黒マスは全て、黒の各ピースによってケアされています。さらにはd8に展開されたルークは非常に好位置です。しかし黒マスの支配権を失うようなことになれば、黒のキング周辺は一気に危険な状態になります。
16.e4
 当然の一手。黒の急所である黒マスを攻めるため、黒マスビショップの道を開放します。

 
16...f5
 16手目、私は差し迫った問題に直面していました。次に白のBf4が見えており、それを許すとb8-h2ダイアゴナルの支配権を完全に失います。Qh1+からa1のルークを取れますが、その代わりにキングを失えば目も当てられません。私は16...Bd6としてb8-h2ダイアゴナルを守るか、逆に白のキングに反撃を行うという2つのうちのいずれかを選択しなければならないと考え、16...f5としてg4のルークを攻撃しつつ、次にfxe4を狙います。
 しかし実際には黒はb8-h2ダイアゴナルのほかに、7ランクにも問題を抱えており、私はこれに気が付きませんでした。f8のビショップがe7マスをケアし続けなければならないため、g7マスは守られていないのです。この時既に私は局面を正しく評価できていませんでした。
 
 この局面の均衡は大きく分けて3つの要素から成り立っています。
 
①黒の反撃
 (a) 白キングが依然eファイルにいること。
 (b) h2のクイーンが好位置であること。
 (c) dファイルの支配。
 (d) f3マスが白の弱点であること。(...Ne5及び...Qh1+による)
 以上によって成り立つ。
②Bf4によるb8-h2ダイアゴナルの支配
③Rxg7後のセブンスランクルークの脅威
 
 本譜の16...f5は、「②Bf4によるb8-h2ダイアゴナルの支配」を捨て、さらにf7ポーンが退けることで「③Rxg7後のセブンスランクルークの脅威」も顕著になっています。しかし「①黒の反撃」であるfxe4からの狙いのためになんとか均衡を保っている状態です。
 つまり黒はこの時「①」と「②」と「③」のうちのいずれかを選択すべき状態でした。
 16...f5は「①」を選択し、「②」と「③」を捨てる手です。
 従って黒は逆に「①」と「②」を捨て、「③」を選択する手、すなわち16...g6とすることもできました。一見危険に見えますが、興味深いクイーンサクリファイスの手順があることで、黒にはこの後で安全に17...Bd6とする余裕があります。
 
 
17.Rxg7?!
 誤ったサクリファイス。黒はこれを取る強制力を受けていません。白は「③」を明確にしましたが、その隙に黒は「①」を進行させることができます。白はここで先に17.Bf4として黒のクイーンを端へ追いやるべきでした。
 
17...Bxg7?
 一体なぜこの手を指してしまったのか。それもただの見落としなどではなく、f8のビショップがa3-f8ダイアゴナルから離れてしまう危険性を理解していたにも関わらず!
 原因は時間切迫でもなく、局面評価が非常に困難な状態で心負けしたことでした。Rxg7が可能なことを見落としていた私は、d7マスのナイトが退くとQc7#をくらうという強烈なセブンスランクルークを排除したいと言う欲求に正常な判断力を奪われ、その瞬間に勝敗は決しました。
18.Bf4 Qh1+??
 さらなる悪手。悪手が悪手を呼ぶ状態。ピース損ながらも18...Bd6とすべきでした。この後黒陣はメイトを避けるために一気に崩壊しました。
 
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 15...O-O-Oまで上手く指すことが出来ていた分、非常に残念な形で終局を迎えましたが、得るものが多い一局でした。最大の敗因は16手目に重要な選択を迫られた黒が、「①黒の反撃」を選んだにも関わらず、17手目に「③Rxg7後のセブンスランクルークの脅威」に捕らわれてしまったことです。「プランの一貫性」はチェスにおいて非常に大切な要素ですが、本譜はその点をよく表しているように思いました。
 

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