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ススメる

nyankomusume
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今回は、chess960のススメ。  

chess960とは、チェスの初期配置をある一定の条件の下にランダム配置して行う変則チェスの一種です。 

一定の条件とは、 
・白のポーンは通常のチェスと同じ2列目に置く。
・残りの白の駒は1列目に置く。
・白のキングは、2つのルークの間のどこかに置く。
・白のビショップは、それぞれ色違いの枡に置く。
・黒の駒は、白の駒と対称に置く。

 以上。大抵の場合、右の図のように何だコリャ!?な形になってしまいます。

これ以外はランダム。ランダムったって実際、どうやって配置するんでしょうか?袋に手を突っ込んで出て来た順番に右から並べるんでしょうか?chess.comの場合chess960のゲームを選択すればコンピュータが勝手にランダム配置してくれるのでその辺りはまぁどうでもいいんですけど。

chess960の魅力とは何かと言えば「定跡の知識がほとんど役に立たない」これに尽きます。研究で勝つということがもう無理です。

何しろ可能な初期配置の数が960通り。ノーマル配置の場合ですら覚えきれないくらいの定跡があるというのに初期配置が960だなんて無理ゲーにもほどがあるというものです。

初期配置がランダムになる、ということは定跡の知識が役にたたないだけではありません。その後の局面で発生する様々なポジションのほとんどが今まで見たことのあるパターンに合致しない…という状態が、エンドゲーム(終盤)に入るまで延々と続くことになります。 

チェスに限らず多くのボードゲームに立ち向かう際、人は過去の研究、経験によって脳に刻み込んだパターンと照合して正解への近似値を導きだそうとします。しているはずです。少なくともにゃんこむすめはそうです。 

にゃんこむすめのチェスの勉強法とは、 
1.「ハリーポッターと賢者の石」のチェスのシーンを観て燃える 
2.ハーマイオニーの登場シーンをピックアップして萌える 
3.「ハリーポッターと秘密の部屋」のハーマイオニーを観て萌え死ぬ 
4.生まれ変わった気持ちで過去のマスターたちの棋譜を並べる 

 ……以下ループ。この繰り返し。ハーマイオニーについてはこのブログで再三取り上げていますので、おいお前それネタだろ?……と思われる方もいらっしゃるかと思いますが本気です。

映画を見た瞬間に、よし将来この子と結婚すると思ったのは、秘密の部屋のハーマイオニーと天空の城ラピュタのシータ、この二人だけです。にゃんこのチェスセットのルークの1つはハーマイオニーで出来ていますが、反対側のルークの屋上にはシータがいて、今日も「パズーーーーー」と叫んでいるんですよ!チェスセットにパズーいませんけれども。 


←空から降ってきた俺の嫁

 

 

 





←はむはむするシータ

……生まれ変わったら目玉焼きになりたい。

 

 









それはさておき。
それはともかく。 

「棋譜を並べる」という行為によって過去の様々なゲーム(とその中で発生した様々なポジション)のパターンがプレイヤーの脳には記録されているわけですが、chess960というゲームはこのパターン認識に合致しない局面だらけになってしまうのです。

例えるなら。
4-3-2-1のフォーメーションでスタートしたサッカーチームが、後半に入った瞬間にシステムを 3-4-3に変更し、かつDFを前線に、FWを最終ラインに、残りの選手も左右斜めに入れ替えたりしたら、選手は混乱してしまってどう動けばいいかわからなくなるでしょう? 

試しにウイニングイレブンでやってみたらそうなりました。何だかわけのわからないサッカーになりました。にゃんこむすめの超絶個人技で試合には何とか勝ちましたけれども。

 まさに羅針盤を持たない航海。チェスに対する真の理解とセンスが試されるわけです。先達の作った定跡に沿うのではなく、初手から自分のセンスでデザインする。それがchess960の魅力と言えます。 

とは言え、全く指針がないわけではなく、 

・序盤は序盤のセオリーと呼ばれている考え方を適用出来る範囲で適用する 
・中盤は……戦略的思考とタクティクス(戦術、手筋)で相手と知恵比べ 

……終盤に入るとピースの数が減ってくるので、さすがに通常のゲームとあまり雰囲気が変わらなくなります。基本的なエンドゲームの知識があれば十分でしょう。将棋において詰将棋の訓練が非常に重要であるようにチェスではチェックメイトとエンドゲームの知識が大切です。それはchess960でも同様なのです。

定跡を覚えるのが苦手、むしろ嫌い、という日本人の方はノーマルchessよりこちらの方がいいかもしれません。普通に考えて序盤の研究に関する情報量では外国の方には勝てませんし。いや洋書バンバン取り寄せてじゃんじゃん読める人はいいんですけれども。

chess.comで対局していると稀に何ソレ美味しいの?的な変化に飛び込まれて混乱しているうちにボコボコにやられることがあるのですが、chess960なら定跡の知識でやられることはありません。

……いや、まぁ定跡を学ぶことで得られるチェスの考え方はとても大事なんですけどね。

将棋でもやってみたら面白いかもしれません。
間違いなく羽生二冠が他の全ての棋士を圧倒するでしょうけれども。
佐藤九段(もうすぐ王将)も強いかもしれません。何しろ最初から駒の配置が変態なのですから。
竜王は一目見て「誰ですか?この駒並べたの、将棋知らない人ですよね。ちゃんと勉強して欲しいですね」と一言残して競馬場に向かってしまいそうです。 

下はchess960での棋譜。序盤をどのように考えながら乗り切っていったか、という点に焦点を絞ってコメント入れておきました。お前、それおかしいよ的な部分がありましたら、ご指導いただければ幸いです。 

さぁ、あなたも今日からchess960をレッツプレイ!