みはいる

nyankomusume
nyankomusume
Aug 24, 2016, 8:32 PM |
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ミハイル・タリ、という人は、長らくフィッシャーより10年くらい前の人という印象しかありませんでした(個人の感想です)。

攻撃的な棋風で、モーフィにも喩えられるほどの鮮やかな勝ちっぷりを披露し魔術師と恐れられた、といったことを知識としては知っていましたけれども、それは単なる知識でしかなかったし、タリの棋譜を並べることがあっても、それはあくまでフィッシャーの対戦相手としてのそれでしかなかったのです。

 今回、チェス古典書を現代によみがえらせる希代の翻訳家、水野優氏によるチェス・クラシックス・シリーズの11冊目(Amazon内容紹介ページより)としてタリの実戦集が刊行(2016年3月)されました。




もうすぐ
福原遥2nd写真集(本書購入は7月中旬。件の写真集は8月23日発売)が発売されるというタイミングだったため、パソコンが壊れて知人から元WindowsXPのマシンを譲り受け、メモリ継ぎ足してからフリーのOS(Linux)をインストールして使っているというレベルの貧困猫であるところのにゃんこむすめとしては、正直どうしようかとものすごく悩みましたけれど、結局は東京スカイツリーから飛び降りる覚悟で購入してしまいました。





実を言うと、過去のプレイヤーのゲームを鑑賞するだけなら、本など買わずとも不自由することはありません(ネット使える環境があれば)。の辺のサイトで大抵のゲームは鑑賞できますし。しかし。

だがしかし。

 PCの画面上で再生されるゲームを鑑賞することと、チェス盤の上に自らの手で再現することの間には根本的な差異があるように思います。なんとなくですけれども。いや、どちらも楽しいんですけどね。

 2次元と3次元の違い?・・・いや違うな。

それは喩えるなら、音楽をCDプレーヤーで聴くことと、楽譜を見ながら自分で演奏してみることの違いに似ているかもしれない。あるいは、プロレスの試合をDVDでみること、自分で実際にスコーピオン・デスロック(さそり固め)を掛けてみることの違いに似ているかもしれない。

 そう、要は疑似体験です。

 そしてその体験をするためのツールとして、1冊の本としてまとまっていることの意義は大変大きいと思うのです。
本書によって、かつて「サクリファイス(価値の高いピースを犠牲に捨てる手)には2種類ある。正しい手と、私の指す手だ」と言い放ったことがあるらしいタリの、鮮烈なゲームをまるで自分が指したかのように、体感することができるのです。 

#なお、世の中には、棋譜をPC上で再現しつつ、隣りにおいた盤上でも実際に並べて再現する、という人もいるそうですよ。

 


気に入ったところに付箋をペタペタ貼ったり。ちょっとしたことをメモ書きしたり(後でブックオフに持っていく可能性がある場合は書き込みはしませんが)、昨年もらった年賀状を栞代わりに挟んだり、今ならベたゲームの定跡を確認したくなって、ECOを確認したり(注:にゃんこむすめはMCOしか持ってません)。気がつくと周囲がチェス本だらけになっていたり。

 まぁ、そういうのが楽しいんですよね。

 ということで、本書の中から特に気に入った一局を紹介。


さて、本書をひととおり読んで思ったのですが、、
良い子のみなさんは、実戦では決して(タリの)マネをしてはいけません

 喰らえ!タリ風の必殺サクリファイス!」とかやったところで、単なる自爆に終わることは間違いありません。タリのチェスは、ファンタジーなのですから。

ということで。 
本書は、まるでVR(仮想現実)ゲームの如く。あるいはチェス盤上におけるAR(拡張)の如く。自分の力では決して実現できないファンタジーの世界を垣間見せ、そして感じさせてくれることでしょう。