まくあける
世の中には、***は***ということになっているけれども、本当は***である、ということが実に多いものです。
例えば。
例えば、楽天の優勝セールは最大77%offということになっていたけれども、本当は通常販売価格より価格を上げた上で割引を適応していたので実は77%offじゃなかった(注:一部の店舗のみ。大多数は優良店だった……と信じることにしましょう)こととか。
例えば。
どこぞのホテルの料理の車海老が実はブラックタイガーだったこととか。
(右図:あるホテルが車海老と偽って料理に出したとされるブラックタイガー)
例えば。
野球界では一般にイチローが天才打者ということになっているけれども、聞けば先頃引退を表明した前田智徳の方が本当の天才だったこととか。
(天才打者:前田智徳)
今一番人気のあるアニメは、進撃の巨人やまどマギということになっている(異論は認める)けれども、本当は今でもゲゲゲの鬼太郎(5期)が世界で一番愛されていること(異論は認めない)とか。
(左:まどマギから、「暁美ほむら」)
(右:ゲゲゲの鬼太郎から「目玉おやじ」)
例えば。
一番人気のあるアイドルはAKB48っぽい気がするけれども、その人気は本当は、元まいんちゃんこと、まいんさんこと、なめこの人こと、福原遥さんの足元にも及ばないこととか。
(下:なめこの人)
例えば。
将棋界での序列では、竜王・渡辺、名人・森内が最も強いことになっているけれども、本当はやっぱり羽生が一番強い、と何となく誰もが思っていそうとか。
女流棋士最強は里見香奈ということになっているけれども本当は矢内理絵子が一番強い、色んな意味で、とか。
女流棋士で一番人気があるのは何だかんだ言ってもやうたん、と思いきや実は中村桃子であること(当社調べ)とか。
(右:女流棋士人気No.1(らしい)中村桃子さん)
ものぐさ将棋観戦ブログの席主は、里見ファンを自称しているけれども、女流に関する記事で一番力が入っていたのは加藤桃子の時(→参考記事はリンク先をどうぞ)だったので、本当は加藤桃子のファンであることは間違いない(個人の感想です)こととか。
戎棋夷説さんがご子息のことを将来の竜王と公言し、かつ渡辺明の後継者とみなして●●●(一応伏せ字)と名づけたと言っているけれども、実際はチェスの英才教育を施しているに決まっているので、本当は竜王じゃなくて日本人初のチェスグランド・マスターにして世界チャンピオン」になると思っていることとか(単なる推測です)。
そして。
そして、例えば。
チェスの現世界チャンピオンはアナンド(FIDE最新レイティング2775で世界第8位)であり、その実力は疑いようがないのだけれども本当はレイティング一位のカールセン(FIDE最新レイティング2870)の方が強いのではないか?とか。
いいでしょう。では本当はどっちが強いのか、決めていただきましょう。
ということで全世界のチェスファンが待ちに待った、待ちに待ちすぎて、いつになったら渡辺明-羽生善治の竜王戦タイトルマッチの再戦が行われるのかと、すっかり長くなってしまった羽生ファンたちの首の、その100倍くらい首が長くなったチェスファンの想いを乗せて。
チェスワールドチャンピオンシップ2013。ついに開幕です。開幕したのです。→チェスワールドチャンピオンシップ2013のサイト
ディフェンディングチャンピオン。ヴィスワナータン・アーナンド、
2007年あたりから統一チャンピオンとなり、以後ずっとこの地位を守っています。44歳くらい(←テキトー)。将棋の羽生さんよりちょっと上。
挑戦者は、マグヌス・カールセン、1990年ノルウェー生まれの23歳くらい。8歳で父親からチェスを教わり、もうずっと前から将来のチャンピオンと目されて現在に至る。●●という噂もあるが未確認だし確認する気もない。
チェス世界選手権は、現在、2戦目まで終了しました。
スケジュールはこちらをご覧ください。
さて。
ここまでを軽く振り返ってみますと、何と言ってもカールセンの初手にのけぞったというのが正直な所です。
初戦、1.Nf3
普通チェスの白番の一手目は「e4」か「d4」と指されることが多いものです。それはチェスにはセンターを支配すると指しやすいというセオリーがあるからです。AKB48がじゃんけん大会を行ってセンターを決める等、センターを重視する文化のルーツはここから来ているのです(真顔)。
1.Nf3には「相手の指し手を見てから柔軟に対応しよう」という、将棋で言えば藤井九段っぽい(つまりセンスが問われやすい)考え方と「いや別にセンター支配はポーンじゃなくても出来るんじゃね?」という、チェスの歴史の中では比較的新しい思想に依っています(この考え方から展開される指し方をハイパーモダンと呼んだりするそうです)。
カールセンは白番の時は、「1.e4」が多かったように思うので、この初手にはちょっと驚いたものです。何か秘策があるのかと思いこれは、アナンドをボコボコにするな!と期待大でしたが、どこをどう失敗したのか、それとも初戦としては成功だったのか、ゲームは16手、将棋で言うところの千日手でドロー。
続いて2戦目。
アナンドの「1.e4」に対して、カールセン「1...c6」
これは、「カロカン・ディフェンス」と呼ばれており、昔々あるところにいた「カロさん」「カンさん」という二人の棋士によって研究開発され現在まで指し継がれている有力な作戦です。有力な作戦ですが、カールセンはやはり「1.e4」には「...e5」又は「...c5」つまりルイ・ロペス定跡を正面から受けるか、又はシシリアン・ディフェンス、というのがメインスタイルだったはずです。
なので、ここもまた初戦につづいて「おっ!?カールセンの秘策か?」と思い、にゃんこむすめはまたも懲りずに「これはきっとアナンドをボコボコにするな!」と色めき立ち、鰹節を見つけた猫みたいに興奮したのでした。
……25手でドローになりましたが。25手目で白番のアナンドがドローオファーしてカールセンがそれを受ける、という形でした。
つまり。
要するに。
どちらかと言うと序盤は普通に、シンプルに、しかし中盤以降はその天才性を発揮して意味がわからなくなる、、、というイメージがカールセンにはあった(個人の感想です)わけで、そういうイメージでゲームを見ていたので初戦からかなりハァハァ言いながら見ることが出来たわけで、さすがカールセン、スーパースターは一味ちがうな!何をやってもファンを楽しませるな!まいんさんと同じだな!と思ったのでした。
少し真面目に振り返ってみると、ここまでの彼の指し方はやっぱり気になるところがあります。
ここまでは単なる様子見で最低でもドローに出来るという確信があったとか、何か秘策があったけれども不発に終わったとかならまだいいんですが。
まさかとは思いますけれども
世界チャンピオンを前にして気負いすぎてる、てことはないよな、なんて心配しちゃったりもするわけです。だって好きだからー。
そう言えば、カールセンは昨年、アナンドの専属コーチを引き抜いて自分のチームに加えたという情報がありました。そのコーチの入れ知恵だったりもするんでしょうか?
世界選手権は、最低でも(恐らく)12戦は戦われますので、ここまではまだちょっと握手をしてみただけ、という感じかもしれません。劇場版 魔法少女まどかマギカ[新編]叛逆の物語を最低5回は観に行くコアなファンが「1回目はとりあえず軽く流して観た」と言っているようなものでしょう。
本番はこれからなのです。
本気を出すのはこれからなのです。
これからカールセンの本気を見るのです。(電ちゃん(艦これ)風)
ということで。
今後の展開はどうなるのでしょうか。正直さっぱりわかりませんし、そもそもここまでの展開すらよくわかっていません。1つだけ言えることは、最近物凄く寒くなってきたので、将棋界では渡辺竜王が防衛しチェス界ではカールセンがチャンピオンの座を奪取してくれたら、にゃんこむすめは心がポカポカと暖かくなれそうだってことです。
そして、今年の世界選手権のこの舞台が、名実ともにカールセン時代の幕開けとなるであろうその瞬間を、ぜひこの猫目で見てみたいと、そう願っているのです。にゃぁ~。