Blogs

チェス世界王者決定

nyankomusume
| 4
チェスの世界王者が決定しました。インドのアーナンド(Anand)さんです。右の写真の人。いつの写真だこれ。
まぁ今回に限らず、過去何度も「世界王者」の称号を手にしている人なので、今回もあー、結局アナンドか。と思った方も多かったかもしれません。
今回の選手権は、イスラエルのゲルファントとの12番勝負でした。
選手権は、以下のような経過を辿ります。アナンドからみた結果です。どうでもいいんですが、インド出身のアナンドさんって聞くと、仏弟子の阿難陀を思い出してわくわくしますね。ちなみに阿難陀とは釈迦の十大弟子の一人で、多聞第一と称せられた人であり(以下略 。
しかし、インドとかイスラエルとか聞いただけで、何だか頭良さそうな気がしてくるから不思議です。
 
1. アナンド draw ゲルファント
2. アナンド draw ゲルファント
3. アナンド draw ゲルファント
4. アナンド draw ゲルファント
5. アナンド draw ゲルファント
6. アナンド draw ゲルファント
7. アナンド  ● ゲルファント
8. アナンド  ○ ゲルファント
9. アナンド draw ゲルファント
10. アナンド draw ゲルファント
11. アナンド draw ゲルファント
12. アナンド draw ゲルファント
1勝1敗10分
引き分け多いわ!多すぎるわ!何これ羨ましい!
しかしこれでは決着がついてませんので、選手権はこの後タイブレーク方式での延長戦に入ります。タイブレークは、
1.「持時間25分+1手ごとに10秒追加」ルールで4局
2.それでも同点なら「持時間5分+1手ごとに10秒追加」で2局
3.それでも決着がつかなければ「持時間白6分黒5分の切れ負け、引き分けは黒勝ち」を1局
という面倒なルールで行われます。ということで、さらにここから4局。
 
13. アナンド draw ゲルファント
14. アナンド  ○ ゲルファント
15. アナンド draw ゲルファント
16. アナンド draw ゲルファント

 アナンド1勝3分。ここで決着が付き、晴れて阿難陀……違った、Anandさんが世界王者となりました。おめでとうございます。
 
ところで。

実は、現在チェスのレイティング第1位はノルウェー出身、今年で22歳になるカールセン君なんです。
世界王者をかけて戦った二人はというと、アナンドは1969年12月生、今年43歳。レイティングは5月終了時点は2791で4位。
ゲルファントは1968年6月生の44歳。レイティングは5月終了時点は2727で20位でした。
序列(?)1位は若者なのに、チャンピオンは40代のおじさま。あのねぇ……。
将棋界かよ!40代強すぎるよ!
何なのでしょうね、この世代。月星人の子孫とかなんでしょうか?

このアナンドさんのチェスというのは、小難しすぎて、にゃんこむすめごときの棋力ではよくわからないのですが、今回の選手権で1局だけ、あーどんなに強い人のチェスでも基本は大事なんだなーと思ったのがあったので、今回はそれを紹介。

チェスの終盤問題です。白がポーン1個有利なので、このポーンををクイーンにすれば勝ちです。では、どうやってクイーンにしますか?という問題。

実は、これ「ルセナのポジション」と呼ばれている、ルークが残った終盤では基本的な局面の1つなのです。
考えて出来た人はエラい。ここから数手後の、ある手筋を知っている人は考えなくても正解に辿り着けるでしょう。その手筋のところでコメント入れていますので、参考にしてください。この手筋、知らなければ事件は迷宮入りします。
#図面の「Solution」をクリックすると正解手順を再生するボタンが表示されます。
 
で。
それを踏まえて。
 
アナンドとゲルファントの選手権がタイブレークに入った後の14局目。アナンドがこのルセナのポジションにゲルファントを誘導して勝利をおさめました。恐らく投了画面の数十手ほど前からこの手筋を構想に入れていたものと思われます。
手筋の知識とそれを実現させる構想力。それが大切であることは、どんなレベルのプレイヤーであっても変わりはないのでしょうね。
 

それはそうと、羽生さんとアナンドのチェスの試合、見てみたくはありませんか?