理想型の阻止
黒の対策1
前回は白番からみた理想型についてセオリーに沿って考えてみました。
今度は黒の立場から見てみると、黒は白の理想型狙いに対して何らかの対策が必要だと思われます。現実のオープニングを見るとだいたい3つの方針があるように思われます。
一つ目は、「白がe4、d4の形を作るのを阻止する」事で、次が「白がe4、d4の理想型を目指すのに対して、ポーンをぶつけて行く」事で、最後が「e4、d4の理想型は作らせても、別の形で勝負する」事です。
順番に見ていきます。まずは「白がe4、d4の形を作るのを阻止する」ということですが、ポーンやナイトを使ってe4やd4のポーンを取ってしまえるような形にします。
なお、白は必ずしも1.e4〜2.d4(又は1.d4〜2.e4)を狙う必要は無いのですが、取り敢えず説明の都合上、白は可能なら必ずこの形を狙うと仮定しておきます。
(1図)
先に1.e4から見ます。次に2.d4としてくる手が見えているわけです。ここで言っている「白がe4、d4の形を作るのを阻止する」というのは、「2.d4としたらそのポーンを取ってしまえるような形にする」ことで理想型を阻止するということです。
この場合、1...e5(オープンゲーム)や1...c5(シシリアン・ディフェンス)とすれば、2.d4に対して、2...exd4または2...cxd4としてd4のポーンを取ってしまえるということです。(それでも2.d4とする手もありますが、ここでは白が避ける事にしておきます。)
この形ではもう一つ、1...Nf6(アリョーヒン・ディフェンス)という手も有ります。今度は2.d4なら2...Nxe4として理想型を崩す事が出来ます。
(2図)
今度は1.d4の場合です。今度はd4のポーンはクイーンで守られているので、このポーンを取りに行く手は有りません。
この場合も次に2.e4を防ぐような手を考えると、1...d5(クイーンズ・ポーン・ゲーム)、1...Nf6(インディアン・ゲーム)、1...f5(ダッチ・ディフェンス)があります。いずれも2.e4ならそれぞれ2...dxe4、2...Nxe4、2...fxe4としてそのポーンを取ってしまいます。(この場合も敢えて2.e4とする変化もあるようです。)
以上の黒の指し方は全て比較的、メジャーな指し方になります。
黒の対策2
次の黒の対策は、「白がe4、d4の理想型を目指すのに対して、ポーンをぶつけて行く」事です。
この場合は一気に組み合わせが増えます。やはりまずは1.e4の場合、黒がいきなり1手目からポーンをぶつける形から考えてみます。
(3図)