白の新たな戦略

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これまで、チェスのオープニングに関して、「白の理想型」、「理想型に対する、黒の対策」をまとめてみました。

 

前回の最後で、黒は「白にe4、d4の理想のポーンの形を許してもそこそこ戦える」様になったので、白も別に「理想型を作っても対抗する形を作られるのなら、無理に理想型を目指さ無くってもいいなじゃないか?」と考えてもおかしく無いと結びました。

黒の対策に対応しながら、考えていきます。

 

初めに「黒が理想型を阻止する方針」の場合です。

この場合は、白がe4、d4の理想型にしようとしても、黒に拒否する権利が有り、そもそも初めから、理想型はあまり期待できません。各論的に見ていくつもりですが、1つだけ例を挙げてみます。

(1図)

 

 

 

初手の1.e4 e5に続いて、2.d4とした局面です。この場合は黒に2...exd4と取る権利が有り、狙っても理想型を作れるわけでは有りませんので、初めから白も理想型を期待せず、他の方針にすると思います。

なお、補足ですが、仮に黒が2...exd4と取らなかったとしても、ポーンのぶつかった緊張感のある形で、やはり理想型に組むのは難しいと思われます。(例えば2...d6とした場合でも、黒の第2の戦略に移行するので、相変わらず、理想型に組むのは困難だし、結局白は理想型以外の形を目指し戦いになると思います。)

 

 

次に「黒がポーンをぶつけてくる方針」の場合です。

これも各論的に見ていくつもりですが、一つ例を挙げてみます。
(2図)

1.e4に対して、黒がフレンチ・ディフェンスを目指したのに対して、理想型を目指す形の、2.d4では無く2.Nf3とした図です。この様に、白は理想型を目指す形が可能で有っても必ずしも、そうする義務は無いということです。

そして、黒のモダンな指し方の場合です。これも複雑になるので一例を挙げるに留めます。

(3図)

 

白の1.d4に対して、黒は1...g6とフィアンケットの形を目指します。この時、白は2...e4と理想型を目指す指し方では無く、2...c4とすることができます。この変化は結局は黒のキングズ・インディアン・ディフェンスに合流するのではないかと思われます。

 

 

さあ、次の段階です。黒番の作戦を参考にして考えてみます。

ここまで、白は全て1.e4か1.d4としてセンターのポーンを伸ばしていました。その隣のcファイルやfファイルのポーンを伸ばして、黒のシシリアン・ディフェンスや、ダッチ・ディフェンスの様に指してみたらどうでしょう?

(4図)

 

1.c4とした図です。これはイングリッシュ・オープニングと呼ばれる形です。

(5図)

 

こんどは、1.f4とした形です。これは、バード・オープニングと呼ばれる形です。

黒の作戦を参考にすると、もう一つ考えられそうです。インディアン・ディフェンスやアリョーヒン・ディフェンスの1...Nf6です。

(6図)

 

これは、レティ・オープニング(レティ・システム)とか、Zukertort Openingなどと呼ばれている様です。

なお、センターでポーンをぶつける変化は、結局c4とかe4と伸ばす形になるので、前述の形の派生型になり、割愛します。(フレンチ・ディフェンスやカロカン・ディフェンスの様な形の事)

 

さらにもう一歩進んで、「白だってモダンな指し方を目指してもいいんじゃないか?」となります。(レティ・オープニングも十分にモダンですが。)

黒の場合と同じように見てみます。まずは、1.g3とする場合。

もちろん、白はこの後Bg2としてフィアンケットでビショップを使います。これは、Benko's Opening とかHungarian Openingとかいう名前で呼ばれているようです。

 

同じように反対側にb3も考えられます。

こちらも同様にこの後、Bb2としてフィアンケットの形にします。この形はNimzovich-Larsen Attack(又はNimzo-Larsen Attack)と呼ばれている様です。

 

他にも、細かな形を言い出すと切りがないので、かなり大まかにまとめてみました。