”Queen vs. Rook" part1

”Queen vs. Rook" part1

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 こんにちは、skramchiです。今回はピース対ピースのエンドゲームの中から、"Queen vs. Rook"のエンドゲームについて解説していきたいと思います。

 "Queen vs. Rook"はピース対ピースのエンドゲームの中でも結構難しいので敬遠しがちですね。斯く言う私もかなり長い間放置していました。そこでこの際にしっかりと勉強して記事にすることで理解を深めていきたいと思います。
 
1."Queen vs. Rook"の重要性
 ピース対ピースのエンドゲームの組み合わせは、
R vs N
R vs B
R + B vs R
Q vs R
K + B + N vs K
 
 などがありますね。上から3つはピース対ピースの中では割と発生し易いのではないでしょうか?
 K + B + N vs Kについては劣勢側が50手ルールによるドローを期待してポーンをサクリファイスして起こることが稀にあるようです。
 主題の"Queen vs. Rook"についてですが、私は上3つ同様に発生し易い方だと思っています。
というのも、"Queen vs. Rook"のエンドゲームは凡そ"Rook and pawn vs. Rook"の延長線上であることが想定されるからです。
 ここで以前に私が投稿したルークエンディングの記事"Rook and Rook-pawn on seventh vs. Rook"から一部を抜粋します。
 
Rook and pawn vs.Rook
 
 図のように"Rook and pawn vs.Rook"のエンドゲームでは、優勢側がルークサクリファイスをして局面を打開することがかなりの頻度で起こり得ます。
 つまり"Queen vs. Rook"は単なる珍しいピース対ピースのエンドゲームではありません。
 エンドゲームの中で最も頻出するルークエンディングの派生なのです。
 
2.Philidor's Position
 "Queen vs. Rook"の重要性を理解したところで、下の図を見て見ましょう。
 
Philidor's Position
 
 エンドゲームを勉強したことがある人は一度は見たことがあることと思います。"Queen vs. Rook"の基本形であり、François-André Danican Philidor(フランソワ=アンドレ・ダニカン・フィリドール)(1726-95)が分析したフィリドール・ポジションです。
  ちなみにフィリドールはルークエンディングの研究でも有名ですね。そちらにもフィリドール・ポジションと言う名前の局面があります。やはりフィリドールもルークエンディングを研究する上で"Queen vs. Rook"の解明は必須だと考えたのでしょう。
 
 白番はこのポジションから、クイーンをa1-a5-e5の三角形に動かす、"Traiangulation with a Queen(クイーンの三角法)"を用いて、同一の局面を作りながら手番を渡し、黒番に対してツークツワンクを仕掛けることで勝つことが出来ます。
  そこで1.Qe5+ Ka7 2.Qa1+ Kb8 3.Qa5の後、黒番に本当に応手が無いのかを確かめて見ましょう。
 
キングを動かす手
(a)キングを動かす手

 この場合3...Kc8以外に手がないですね。4.Qa6による絶対ピンで呆気なく終了します。

 
ルークをキングと同色のマスに動かす場合
 
(b)ルークをキングと同色のマスに動かす場合
 この場合もすぐにクイーンのフォークで簡単に勝てますね。
 
ルークをキングと異色のマスに動かす場合
 
(c)ルークをキングと異色のマスに動かす場合
 この場合は(B)より若干複雑になりますが、最終的にはやはりクイーンのフォークが決まります。
 クイーンをa1-h8ダイアゴナル上で動かしながら連続チェックを仕掛け、フォークをかけられる位置に相手キングを誘導しています。
 
~~~まとめ~~~
  1. "Queen vs. Rook"は"Rook and Pawn vs. Rook"の派生である。
  2. フィリドール・ポジションでは、優勢側がクイーンの三角法を用いて劣勢側をツークツワンクに追い込むことで勝てる。

 

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 ここまで閲覧して頂きありがとうございました。
 
 Part1では最も基本的な事項についてのみ触れました。
 Part2ではこの基本をもとに、さらに踏み込んで"Queen vs. Rook"を解説していきたいと思います。